2013.10.29 のニュース
不健全な印が残る人為相場
先週末の仕切り対応を含め、この3週間の国内の石油製品卸相場は、どこかおかしい。原油相場動向に連動しないこととともに、片や横ばいがあれば、片や2・5円の変動もあるという具合に、元売間での判断が大きく割れてしまっている。
原油や卸相場の動向に目を光らせている向きには周知の事実だが、こうしたことが頻発して、指標とされる卸相場が迷走し始めている。迷走によって生じる負の部分が、精製元売などの当事者にとどまるなら、勝手にやってろ、と突き放すことも可能だが、その最大のマイナスがSSに向かっているから、性質が悪い。中でも系列SSのポジションは、絶望的に悪い。
先週末時点で、ガソリン京浜海上相場と陸上相場の値差は㍑5・7円を超える陸上高となっている。適正とされる需給環境なら2円内外の陸上高は当たり前だが、ここ最近、あり得なかった陸上高である。今日の週仕切りの起点となった2008年10月以降では、導入当初にリーマンショックを経て、史上最高値の150㌦から30㌦へ、丸6ヵ月間に及んだ原油暴落過程においてのみ、大幅・陸上高の痕跡はある。
原油相場の上下動は、上流から下流へと伝わるのが鉄則だ。相場影響がまず海上相場に現れ、次に陸上相場に影響する。週5円ペースでの暴落相場で、海上業転が即座に反応し、次いで陸上業転が反応、当時は月曜改訂だった系列SSは、先行下げする業転や土曜改訂の系列SSに対して、劣勢を余儀なくされ、その系列も土曜改訂へと前倒し変更された。
陸上に対して、5・7円割安な海上相場に手を出せる卸業者を介して仕入れられるSSがあるだろう。そのSSが京浜50㌔圏内にあれば、周辺の陸上業転にのみ依存するSSよりも、約4・5円は割安に仕入れられることになる。
さらに、この1週間で週平均1・3円値下がりした陸上業転に依存するSSに対して、同一商圏内にある系列SSの中で、先週末に据え置きとされた系列SSは、この1・3円分は独歩高とされている。海上から見れば、その差額は7円に迫る。系列SSの仕入れを下回る小売価格を実現するPBが表れてもおかしくない偏重相場が出来てしまっている。政治や行政の要請・指示とはかけ離れた、不健全かつ不公平極まりない人為的な操作の帰結である。