2013.10.29 のニュース
石連が新提言 エネ基本法に反映を-石油産業の構造改善で競争力強化-
石油連盟は、23日の理事会エネルギー政策への新しい提言を決めた。現在、総合エネ調で審議しているエネルギー基本計画、来年度の政策に反映させることを狙う。昨年の民主党政権下でのエネルギー計画策定に際しては5回の提言をまとめて対応したが、原発問題に終始していた。今回は自民党政権下で新しいエネルギー基本計画の審議に入っており、石連としても時代に即した新しい提言をまとめたものである。
今回の提言はアベノミクスの成長戦略に呼応をしたものとなっており、産業競争力、エネルギーセキュリティ強化への取組みを打ち出している。また、多方面から問題点を指摘しており、その推進のための支援策を要望している。基本的には、エネルギーの太宗を占める「石油」は、基幹エネルギーであるとともに国民生活に欠くことができない資源として位置づける。これまでの「脱石油政策」を改め高度利用に努める。エネルギー間の公正な競争の促進のために特定税制の見直し(自動車用燃料の税負担公平化、天然ガスの優遇措置)、石油火力の明確な位置付けなど、従来からの方針を強調している。
石油産業政策への提言としては①資源外交の強化に取り組むとともに、引き続き産油国との共同備蓄などを強化する、②アジアの新興国に対して備蓄協力の可能性を検討する、③サプライチェーンの維持では災害対応強化策を、SS過疎化対策では社会政策の観点から取り組むべきである、④民間タンクを利用するとともに石油火力燃料の国家備蓄を開始すべきである、⑤災害時を考慮して、学校、公民館に石油利用システムの導入を支援する、など具体的な要望を提示している。
石油産業の成長戦略(産業競争力強化)では①石油の高度利用により石化製品・潤滑油など高付加価値製品の生産にシフトする、②国際競争力強化に向けて製油所・コンビナートの構造改善に取り組む、③製品輸出体制の構築、石化製品・潤滑油などの輸出拡大、アジアへの市場参入など本格化な展開を目指す、④石油のみならず、消費者が求めるエネルギーを供給する総合エネルギー産業への取り組みを進める、などの方向を示し、これらの政策推進のため国の支援策(税制)を求めている。
具体策な税制改正要望としては、製油所の競争力強化策として非製品ガスの石油石炭税の非課税化(還付制度の創設)を来年度税制改正要望の目玉として取り組むことになる。
経産省も石油産業の競争力強化では、ポスト高度化法として元売・精製業の将来戦略としてコンビナート内外で「資本の壁・地域の壁を越えた設備最適化の推進による構造改善事業(新・新リング)の推進」を打ち出している。従来の同一コンビナート内の緩やかで小規模な連携から、同一コンビナート内のみならず、地理的に離れたコンビナート内の複数の製油所、石油化学の統合運営を目指すことで高度化、非効率設備の廃棄を狙うことになる。
さらに石油・天然ガスの開発、ガス・電気などのエネルギー事業強化による「総合エネルギー産業化」、海外での石油精製、石油化学など、エネルギー事業の複合的な展開を支援する方針を打ち出している。石油業界もこの方針に沿ったかたちで推進することなる。