2013.10.30 のニュース
ガソリン、灯油は低在庫で推移-減販は減産で対応、輸出増も寄与-
ガソリンと灯油の在庫は低位で推移しており、需給は締まっているが、業転市況が値上がりするまでには至っていない。原油価格が下落気味であるため仕切価格が値下がりしていることもあり、減販に対して減産で対応、在庫が減少している。
石連週報によるとガソリン在庫(19日)は182万キロリットルで前週に比べると11万キロリットル減となり、190万キロリットルを割る低在庫となっている。在庫が200万キロリットルを割れば需給がタイトとなると見られているが、しかし販売も減少しているためか、在庫が低水準であっても業転市況が値上がりするまでには至っていない。
ガソリン販売は、7~8月は猛暑となり増販となったが、8月末から9~10月と減販となっている。今年は台風が多発したため、天候不順が続き減販となった。そのため供給増が心配されたが減産で対応しており、低在庫となっているが需給が逼迫する状況にはない。
また、ガソリンは業転問題で元売と販売業界の対立が続き、混迷している。販売業界が業転と仕切価格との価格差の是正を求めており、公取委のガソリン市場調査の報告を受けてエネ庁が調整に入っている。その結果、元売はブランド料の引き下げで対応している。さらにエネ庁通達で①業転を扱っても、直ちに取引を停止しない、②流通経路を透明にするため流通経路証明を添付することを元売に要請しており、業転問題は詰めの段階にある。
このような状況下で仕切価格が改定されているが、26日からの方針でバラツキが生じるなど、一時的な混迷状況にあるようである。だが、需給は締まっているため末端市況が大きく崩れることはない。
一方、原油価格(ドバイ)は、6~7月は100ドル/バーレルであったが、8~9月で値上がり108ドル程度の高値で推移、その後は値下がりとなったが、足元は106~107ドルで推移しており、依然として高値を維持している。ただ、ここにきて原油価格は再度、値下がり気味となってきた。
また、灯油在庫もガソリンと同様に低位で推移している。19日の在庫は324万キロリットルで前週に比べると10万キロリットルの積み増しとなっているが、前年に比べると7万キロリットル減となっている。灯油在庫の積み増しは今がピークとなっているが、今冬は低在庫で灯油商戦に臨むことになる。
このように灯油在庫が低位であるのは、同じ中間留分のジェット燃料、軽油の輸出が好調であるため、灯油の生産が抑えられたことによる。ジェット燃料、軽油の輸出が好調なのは、海外市況が堅調であり、為替が円安で推移しているため、円換算では高値となるためである。軽油は国内価格より海外の方が割高となっており、輸出にシフトしている。
為替が昨年は80円/ドルであったものが、今年の7月には100円に円安が急進した。最近は97~98円/ドルで推移しているが、アベノミクス効果で円安となっており、この円安が中間留分の輸出増に繋がっている。その結果、一週間のジェット燃料と軽油の2油種の輸出計は、通常20~30万キロリットル程度のものが約50万キロリットルを確保している。この輸出増が全体の製品需給をタイトにしている。いよいよ灯油販売はシーズンに入るが、冷え込みが早く。厳冬が予想され、増販が期待されている。