日刊ニュース

2013.10.31 のニュース

共有すべきプラス1円思想

消費増税を控えた日本経済。そこへ向けて、年率2%のインフレ目標を掲げ、資金の流動性をより高め、内需のテコ入れを図りつつ、円安誘導で輸出企業の活力を高めるアベノミクスが発動されて、11ヵ月が経過した。我々石油販売業者・SSはもちろん、元売もその事業活動領域の主軸は国内にあるから、その経済効果の最大の恩恵に浴するポジションにある。しかし、我々も元売も現状維持さえままならず、前年割れの底バイからの脱出口を見付けられないでいる。
 多数が採算を重視しようとしても、少数の数量によって収益を得ようとする逆張りSSが現れて、元の木阿弥に没する。この繰り返しで、逆張りするものが少しずつ増えている地域もある。SS店頭では、有資格者の正社員を減らし、時給のスタッフで賄うことが推奨され、地域社会における雇用力も著しく低下してしまった。
 元売も、金曜のJXを皮切りに、3月期は中間期、12月期は第3四半期の業績発表が始まる。国内石油精製販売部門の収益面の事前見通しでは、より下方へ、より下方へと下振れする公算だ。今期12兆円を超えるJXをはじめ、5兆円に迫る出光、3兆円を超えるコスモと東燃ゼネラル、3兆円に迫る昭和シェルという大手5社の売上高を擁する事業規模は、国内製造業では稀有な企業群であるが、地域のシンボルだった製油所の火が次々に消え、系列SSを支えるサポート力も低下の一途だ。
 より良化する、ということに早急に踏み出さなければ、我々石油だけが取り残されてしまう。アベノミクス効果で、その恩恵を具体化しつつある他の製造業、小売業と我々との格差が拡大してしまう。4月には消費増税と地球温暖化対策増税が控えているが、消耗した体力でダブル増税の峠を越えねばならなくなる。
 恐らくいまは、元売は年々縮小することが確実な内需見通しの中で、原油を含めた安定供給機能を維持するために、SSは地域のエネルギー基盤として、有事を含めてその責を果たし続けるために、お客様に対してプラス1円を認めていただける社会なのだろう。それを認めないのは、残念ながら一部の同業者であろう。プラス1円を共有できる同業者の共通意識こそが、我々も、元売も、再構築すべき至上命題である。業界の劣化防止は、個別企業の良化と同じ意味があるのだから。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE