日刊ニュース

2013.10.31 のニュース

資源・燃料分科会で石油政策を議論-メタンハイドレートは商業化目指す-

 総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会(分科会長は橘川武郎・一橋大学教授)は、11月6日に初会合を開き、直近の課題としては、海洋基本法に基づく「海洋基本計画」が4月の閣議で決定されたこと受けて、海洋資源開発を推進するために必要な技術開発や達成目標を定めた「海洋エネルギー・鉱物資源開発」を改定することになり、年内に計画を取りまとめることになる。同時に鉱物・エネルギーの安価な供給確保、石油・LPガスのサプライチェーンの強靭化などの資源・燃料政策の課題を検討する。
 委員には、石油関係業界から木村石連会長、平井石鉱連副会長、吉井天然ガス鉱業会副会長、山崎LPガス協会長、河野JOGMEC理事長、豊田エネ研理事長などの学識経験者で構成されている。
 海洋基本計画の目玉策としては、メタンバイトレート(砂層型)の技術開発の取組であり、平成30年の商業化を目途に技術の整備を行なうことになっている。今年1月には愛知県沖で世界初となる「海洋産出試験」を実施、3月に約6日間のガス産出の実験に成功した。作業の実施主体はJOGMECで、探査船「ちきゅう」を使用してオペレーターは石油資源開発が実施、生産量は12万立方メートル、日量2万立方メートルのガスを産出した。今後の計画では、平成27年までに海洋産出試験などの生産技術の研究試験を行ない、30年度(2018年度)を目途に商業化の実現に向けた技術の整備を行なう。さらに新計画では「平成30年代の後半(2023~28年)に民間が主導する商業化プロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ技術開発を進める」と定められ、6月の閣議で決定された「日本復興計画」にも織り込まれている。
 また、新しい表層型メタンハイドレートの資源量(新潟県近海)を把握するため、平成25年度以降3年間で広域な分布調査を実施することになる。そのため経産省は、メタンハイドレート開発の26年度予算要求では127億円(今年度は27億円)を計上している。要求では、従来の砂層型は第2回の海洋産出試験の実施に向けた詳細設計の準備と商業化に向けた整備を進め、表層型は資源量把握のための分布調査の実施、サンプルの取得を実施するとしている。
 橘川分科会長は「メタンハイドレートの商業化に向けての取組に力を入れたい。石油についてはポスト高度化法を睨んで新しい政策を打ち出したい」と述べている。
 一方、石連では、議論を想定して新たなエネルギー政策への提言を決めている。国民生活に不可欠である石油の位置付けの明確化を求め、これまでの脱石油政策を改めるなど、従来からの方針を踏襲、石油産業政策の提言として①官民一体で資源外交に取り組み、引き続き産油国との共同備蓄を強化すべき、②石油のサプライチェーンの維持にあたっては、災害対応強化も念頭に置いた支援の強化、SS過疎地対策は社会政策の観点から取り組む、③国家備蓄を拡大する場合は、民間タンクを活用するとともに石油火力燃料の国備を開始すべきである。④災害時を考慮して、学校、公民館に石油システムを導入すべき、⑤製油所・コンビナートの構造改善の取組に対する政策支援の強化などを提言している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE