日刊ニュース

2013.11.05 のニュース

ガソリンマージン悪化は深刻-灯油増販では業績回復せず-

 灯油シーズン入りを前にして「灯油高のガソリン安」の体系となってきた。灯油は今後も値上がりが見込まれるが、ガソリンの値上がりは遅れることになりそうである。その結果、元売のガソリンマージンは悪化することになり、業績にも影響してくる。仕切価格の改定でもガソリンは据え置きとなっても、灯油は値上がりとなるため灯油が高値となる。
 足元の先物市況でみるとガソリンの76円/リットルに対して灯油は80円となっており、業転市況もほぼ同値で推移している。ガソリンの在庫は、石油連盟の週報では190万キロリットルを割る低水準で推移しており、需給面から値上がりが見込まれるが、減販の影響もあってか業転は低調である。また、台風の影響で内航タンカーでの荷動きが減少したこともあり、海上物が安値となっている。全体の在庫は減少しているが業転市況は海上安の陸上高の体系にあり、業転市況は低調である。
 末端市況も原油価格が下落気味で推移しており、小幅であるが値下がりしている。在庫が低位であることから、大きく値崩れすることはなく下げ止まりとなったが、街道沿いは155円が中心値、セルフの安値は150円割れとなっている。ここにきて業転問題を巡って元売と販売業界との対立もあり、落ち着きがなく不安定なムードが続いていることが市況形成にはマイナスとなっているようである。
 そのため下期は、冬場の灯油の増販とマージン増で増益を見込んでいるが、ガソリン安でマージンが減少すれば相対的にみれば利益減となるため、業績悪化が心配されている。一般的には上期の業績は悪く、下期では灯油の増販とマージン増で利益を確保して、上期のマイナス分をカバーして通期では黒字とするのが例年のパターンである。
 しかし、下期に入って灯油が値上がりしても、10月の販売は少なく、荷動きが出るのは11月以降である。そのためガソリンが10月以降、市況が低迷してマージンが減少すると業績の回復は難しくなる。ガソリンは、昨年の10~11月も月間では470万キロリットルの販売数量があり、12月も520万キロリットルとなっている。
 一方、灯油は昨年の例をみても10月は106万キロリットル、11月は202万キロリットル、12月は340万キロリットルとなっている。夏場の月間60~70万キロリットルに比べると大幅増となる。そのため冬場では灯油の増販で増益をあげることを織り込んでいるが、ガソリンの販売数量に比べれば少ない。その結果、ガソリンマージンが減少すると下期の業績が悪化する。下期スタート直後であり、ガソリンのマージン減は深刻である。
 下期は灯油の増販とマージン増で増益を見込んでいるが、天候次第の季節商品であるため、暖冬になれば市況が下落して予測が外れる公算も強い。ガソリンは減販傾向にあるが、数量が多いため利益の源泉であり、市況を立て直してマージンを確保しないと業績は回復しない。
 元売の石油事業の4~6月の決算は、在庫影響を除くと実質赤字となっており、7~9月で利益を確保して挽回する見込みであったが、相殺できずに上期は終わった。その他の石油開発、石油化学が黒字で連結決算は黒字となったが、下期の見通しも難しくなっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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