2013.11.07 のニュース
上期石油事業は赤字 下期で挽回、黒字を狙う
JXホールディングスの上期決算は、経常利益が1716億円(前年は796億円)で前年比965億円増(121%増)となった。上期平均の原油価格(ドバイ)は、103ドル/バーレルで前年比で5ドル安となったが、為替は平均99円/ドルで前年比20円の円安となったことで在庫評価益が646億円発生、在庫影響を除いた経常利益は1115億円となり前年上期の1256億円(在庫評価損が460億円)に比べると141億円減となる。利益は897億円(前年は268億円)で629億円増益どなった。
セグメント別でみるとエネルギー事業(石油製品と石油化学)の売上高は5兆円、経常利益は914億円(前年96億円の損失)となり1010億円の増となったが、在庫評価益が622億円あり、これを除いた経常利益は292億円となる。エネルギー事業のうち石油製品は在庫影響を除くと126億円の損失となっているが、下期では業績回復を狙い、通期では190億円の黒字を見込んでいる。126億円の損失の要因としては、販売数量が減少したことに加え国内の石油製品のマージンが減少したことによる。ガソリン販売は4月から7月は堅調に推移したが、8月以降は昨年の猛暑の反動により石油製品全体では前年を下回った。また、電力向けC重油は石油火力の稼働が落ち込んだため減販となった。
石油製品マージンは需給環境を反映して4~6月で低下、7~8月では回復したものの、9月以降は再び低下したことで、在庫評価益を除くと赤字となっている。
一方、石油化学は、主力製品であるパラキシレン、ベンゼンの価格が堅調に推移したことに加えて、為替が円安となったことから輸出が有利となったため、在庫評価を除きで経常利益は418億円(前年は98億円)で前年比320億円の増となった。石油製品は126億円の赤字となったが、石油化学で418億円の黒字となり、相殺するとエネルギー事業では292億円(337億円)の黒字となる。前年比では45億円の減となる。
その他、石油・天然ガス開発事業の経常利益は531億円(582億円)、金属事業が196億円(216億円)、その他が120億円(94億円)で合計で1761億円(796億円)で965億円の増益となった。在庫影響除きでは1115億円(1256億円)で141億円の減益となる。在庫影響除きでは減益となるが、決算上の数字は増益となった。
また、7月の予想では上期の経常利益を1400億円としていたが、実績は1761億円となったため予想に比べ361億円の増、利益は予想が650億円であったが、897億円となっため247億円の増となった。在庫影響を除いた経常利益は950億円を予想していたが、実績は1115億円で165億円の増となった。
通期見通しは原油価格(ドバイ)を下期100ドル/バーレルで、通期では102ドル、為替を下期95円/ドルで、通期では97円を前提に経常利益は3000億円(5月の予想は3350億円)で350億円の下方修正となる。前年実績の3283億円と比べると283億円の減となる。見通しに比べると減益となるが、それでも下期は需要期であり上期に比べれば業績は回復する。
セグメント別のエネルギー事業の経常利益は1320億円で前回見通しの1700億円より380億円の減となる。うち在庫影響が380億円発生するため、在庫影響除き940億円(見通しは1350億円)で410億円の減となる。
うち石油製品は190億円(見通しは570億円)で見通しに比べると380億円の減、前年実績が561億円であるため、前年比で371億円の減となる。しかし、上期の赤字を解消して黒字となる。石油化学が750億円(780億円)で30億円の減を見込んでいる。前年は467億円であるため前年比では283億円も増となる。