日刊ニュース

2013.11.20 のニュース

石油事業マージン低下で赤字に マージン確保を狙う対応が重要

 石油各社の上期決算を石油事業に限定してみると、原油価格の上昇や円安による在庫評価益の発生で経営利益は増加したが、在庫影響を除くと赤字となっている。円安により円/キロリットル換算ベースではコスト高となっているが。市況が下落して仕切価格が値下がりしているためコスト割れで赤字となっている。
 4~6月はマージンが減少して赤字となったが、7~8月ではガソリンが増販となり利益を確保した。だが、9月以降は減販となるなど、4~6月の赤字分を7~9月の黒字で解消することはできず。上期では赤字が残った。下期は灯油などが需要期であることから。各社とも通期では黒字を見込んでいる。上期連結決算では、石油化学が円安に加え海外市況が高値で推移したため好調であり、石油開発も円安と原油高のため利益を確保、黒字となった。
 石油事業の上期の赤字の要因としてはマージンの低下をあげている。出光の場合は、在庫評価益を除いて86億円の黒字となっているが小幅であり、JXは126億円の赤字、コスモは170億円の赤字である。
 マージンは口銭、粗利益とされるが、元売ベースでは原油価格(CIF)と販売業者への仕切価格との差となる。元売は、上期の赤字要因をマージンの低下、減少、悪化、縮小などで表現している。しかし、上期の赤字を、単にマージン減少と説明することには問題もある。客観的には、需給状況、原油価格の高値、円安(100円/ドル)によるコスト増などを、直ちに転嫁することは市況実態から難しく、やむを得ない状況にあるが、元売の販売戦略、価格対応などの企業努力も必要となる。
 現在、元売と販売業者間で仕切価格と業転との価格差縮小が問題となっており、業転を値上げして仕切価格を値下げすることで価格差を是正して健全な価格体系を構築すべきとの意見が出ている。だが、現行の業転ルート、値決め方式が定着しているため、新体系に移行するには強力な方針の転換が求められる。
 現行の市場連動制による仕切価格の改定では、原油価格の値上がりを機に仕切価格を値上げするが、実際の原油CIF価格でみると、1ヵ月以上の時間的なズレが生じる。円/キロリットルで換算したCIF原油価格をみると7月が6.5万円、8月が6.6万円、9月が6.9万円、10月初句は7万円と値上がりしており、足元で処理している原油価格は高値である。だが、現在の原油価格は下落(東商取は6.6万円)しており、ガソリンの仕切価格は値下がりとなっているため元売のマージンが減少することになる。原油価格が値下がり局面となると、仕切価格も値下げとなるが、末端市況は原油価格の下落を先取りして値下がりする。そのため、販売価格は原油CIF価格に精製費・販売経費など加算したコストを下回ることになり赤字となる。
 元売では、原油CIF価格にマージン1万円/キロリットル(10円/リットル)以上の加算が必要としている。この10円/リットルのマージンが確保できるか否かがが損益分岐点となる。マージン10円の中には、現在問題となっているブランド料の4円が入っており、さらに適正利潤が含まれることになるが、市況が大きく変動している状況下では、安定したマージン確保は難しい。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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