2013.11.21 のニュース
資源エネ庁 上流開発 海外企業との連携を LNG共同調達の方向性
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会第10回会合は、18日に開催された。
住田・資源エネルギー庁資源・燃料部長が「バーゲニングパワーの強化に向けたLNGの新しい共同調達の方向性について」を説明した。
内容は、電カ・ガス、製造業等の合計11社のLNG調達事業者に対しヒアリングを実施、LNG調達の基本方針や戦略、バーゲニングパワー強化に向けた取組みの方向性等について意見交換したもの。
LNGの調達においては、価格面での優位性だけでなく、契約の柔軟性や上流・中流権益の確保などについてもバーゲニングパワーを発揮していくため、従来のコンソーシアム型での共同調達ではなく、新しい形態での共同調達を戦略的に活用することが有効である、としている。
また、相互補完を基本として、アジアの消費国の事業者に加え、欧米の事業者等ともグローバルな連携強化を進めていくことが有効であり、LNG産消会議、日印エネルギー対話、日韓ガス対話、EUとの共同研究等の機会も活用する。こうした国内外の事業者連携を深化させて行くためにも、FOB契約における仕向地条項の撤廃など、LNG契約の商慣行を弾力化していく取組みを後押ししていく必要がある。
バーゲニングパワーを発揮していく上でのポイントとしては、LNGサプライチェーン全体を統合した取組みを進めることとして次の4点があげられる。
①燃料調達コスト削減のためには、調達の局面だけでなく、調達の規模を活かしながら、上流部門への参画から、配船や国内基地・輸送でのロジスティックス・運用面まで含めたLNGサプライチェーン全体を統合した取組みを進めることが重要。
②調達ボリュームがあれば、それを挺子にして上流・中流事業に参画することができる。
③ロジスティックスでは、必要に応じて自社LNG船を保有することも、効率的な輸送や徹底的なコスト分析等の観点から有効である。
④同一プロジェクトから共同調達することにより、船の稼働率を引き上げ、調達コストの引き下げにつなげることもある。
また、グローバルな連携強化も進めていくことが重要であるとして次の3点が指摘されている。
①日本以外のLNG調達企業とも、配船スワップを行なうことにより、LNGの調達契約に弾力性を持たせるようにしている。
②自社と相手国企業とのLNGを必要とするタイミングや戦略が一致する場合に、海外の事業者との連携を強化する。
③今後、アジアの大規模バイヤー、更には、パイプラインや天然ガス価格体系とリンクした欧州企業や北米企業との連携を深めていく必要もでてくる、と指摘している。
また、大きなポートフォリオの中で多角化を進めていくことが重要であると指摘している。即ち
①調達コスト・価格の引き下げが最重要であるが、同時に調達先や契約条件の多角化を進めていくことが重要である。
②日本はLNGの最大輸入国ではあるが、日本企業間中で差別化を図ろうとしており、個社で見ると国際市場でプレゼンスが小さく見える点に留意する必要がある。
③プロジェクトの開発規模が大きくなってきている一方、全体の調達量に占める一つのプロジェクトの割合が高くなりすぎることは逆にリスクが高くなる。調達量をまとめあげつつ交渉力を強化すると同時に、多角化してリスクを低減させるバランスが必要であり、大きなポートフォリオが必要となってくる。