2013.11.28 のニュース
原油並みガソリンの衝撃
高値によるガソリン買い控えが小売市場を覆っている昨今だから、SSにとって、ガソリン卸の値下がりは大歓迎である。少しでも値ごろ感が強まって年末商戦に向かえば、寒波の到来で灯油需要が下支えされれば、これまで数量の低迷と粗利の縮減に苛まれてきたSS経営は、わずかでも人心地が着くだろう。
それでも、いまのガソリン相場が発している市場の異常さは看過できない。市場が醸し出すシグナルは、寒気さえ覚える。
我々SSは、国内石油市場における公平な卸政策を望んでいるのであって、自助努力を発揮する甲斐のあるSS環境の実現を求めているのである。断じて、元売の経営が大きく傷ついて、奈落に落ちていくことなど望んでいないのだ。むしろ、その売上高に見合った収益を安定的に上げられる基盤を築くことを切望している。
TOCOMの石油製品12月納会で、ガソリンはガソリン税別で㍑72円台を付けた。26日の中東産原油FOBは、為替TTS相場の円換算で70円前後となったから、これを通関させて石油石炭税2・29円が課税されると、ほぼ現在のガソリン相場に並ぶ数式となる。輸入した原油をそのまま小分けしてガソリンと称して売っても、物流費さえカバーできないバーゲンセール状態にある。
他油種と比較してガソリンは世界的に割安な水準にあるが、それでもアジア市況はほぼ80円と換算できる。メイド・イン・ジャパンのガソリンの割安さ、破格さが特筆される状況にある。換言すると、精製元売のガソリン収益は、目を覆うばかりの出血にある。最大油種のガソリンがこれでは、むしろ製油所の稼働を止めてしまったほうが良い。
ここで用いたガソリン相場は、業転玉の相場であるから、系列向けはやや採算性が向上しているのだろうが、装置をフル稼働させて、ガソリン業転を出荷する意味は、収益を棄損するばかりで全くない。むしろ、相場指標を通じて、系列向けガソリン仕切価格をも下方へ引っ張ってしまうのだから、経営としての意味をなさない。
それでも、系列よりも割安に、業転玉を出荷するのはなぜなのか。帳尻が合わなくても、バーゲンセールを続ける意味はあるのだろうか。ガソリン破格値の出現は、この際、業転玉の出荷はゼロとすべき、という市場が発するシグナルだろう。