2013.11.28 のニュース
メタンハイドレート開発促進-基礎調査の機動的実施を支援-
新しい「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」(国内の海域)は、次回12月24日の総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会で計画案が決まる予定である。現行の開発計画は、「海洋基本計画」(4月の閣議で改定)が平成20年3月に策定され、これを基に21年度から30年度の10年間の中長期計画として取り組んでいる。だが、計画策定から5年が経過し、その間、資源産出国の資源ナショナリズムの高まり、東日本大震災以降のエネルギーら国内の資源開発の重要性が認識されており、中間段階で見直しを行なうことになったものである。
メタンハイドレートについては、現行計画では商業化の実現に向けた技術の整備を平成30年度に行なうとしているが、新計画では①平成30年度を目途に商業化の実現に向けた技術の整備を行なう、②平成30年代後半に民間企業が主導する商業化プ口ジェクトが開始されるよう国際情勢をにらみつつ技術開発を進める、③新たに「表層型」メタンハイドレー卜の資源量を把握するため平成25年度以降3年間程度で広域的な分布調査を実施する、と定めている。現行の計画では表層型について記載がなく、砂層型のみの開発が進められていたが、新計画では表層型も実施することになり、25年度から調査を開始している。
表層型の存在はすでに確認されており、日本海側(新潟県沖)の有望海域を中心に3年間程度、集中的に調査する。26年度から地質サンプルを取得、資源回収技術の開発を、サンプル調査の結果を踏まえて速やかに実施する。なお、技術関連情報の収集は今秋から開始する。これらの結果を踏まえて資源回収の研究の進め方を検討することになる。
現在、取り組んでいる「砂層型」は、海域では世界初となる「減圧法」でのガス生産実験を今年3月に愛知県沖で実施、約2万立方メートル/日の生産を確認している。出砂トラブルのため6日間で試験を終了したが、安定生産の課題が残っている。これらの経過を踏まえて25~27年度にかけて、米国との陸上産出試験の実施(1~3ヵ月程度の試験)、生産コストの削減、長期の生産試験に向けた準備、環境影響調査などを実施する。27年度末頃には、表層型の進め方と合わせて方向性、目標を再確認する。28~30年度では、技術、環境など総合的に検証、民間企業の参入を促す仕組みを作りに取り組む。
「石油・天然ガス開発」(国の物理調査、基礎試錐)については、国の基礎調査として第一次5ヵ年計画(昭和30~35年度)から8次計画まで実施され、平成11年度で終了した。その後は石油公団の廃止、規制改革の影響を受けて中断もあり、縮小しての実施となっている。今年4月には、佐渡南西沖において「ちきゅう」で試掘を行なうなど、復活の兆しをみせており、新計画では、①3次元探査船「資源」を活用した基礎物理探査(6000平方キロメートル/年)を実施、30年度までに総計6.2万平方キロメートルの探査を実施する、②探査技術を高め、日本人のみで3次元探査ができる体制(27年度末)を構築する、との目標を掲げている。基礎試錐は、探査結果を踏まえ、引き続き機動的に実施する。地質データ等の成果は民間企業に引き継ぎ探鉱活動の推進を図る、と国の支援を求めている。