2013.12.02 のニュース
師走に向けての基盤回復
9電力が雲上に鎮座し、大都市圏をカバーする都市ガスが、電力の尾を踏まないようにしながらも、それを注意深く追う。その両者を顧客とする石油は、最重要な賓客として丁重に振る舞いながら、少しずつ自らの領域を献上し続けてきた。
京都議定書を端緒に、石油は環境族から最悪の烙印を押された。その渦中にあって、電力は国産・非化石エネルギーという冠を被せた原子力を旗手に、オール電化で石油の領域への侵略を本格化した。ご丁寧にも、その多くを石油に依存する石油石炭税から、オール電化住宅向けの補助金の大勢が賄われた。都市ガスは石油よりは地球に優しいエネルギーを前面に出して、配管が巡らされたエリア内の灯油・重油需要家の完全制覇を果たし、一般家庭でも脱・石油をセールストークにして、多くの民生灯油の浸食した。9電力、4大都市ガスは、異なる地域であっても、ほぼ同じ戦略で、石油の市場を奪取してきた。電力は原発事故で深手を負い、都市ガスも本格的な競争原理の議論が進む時代を迎え、その威力は多少は削がれてきているが、強力であることには変わりはない。
全石連も石油連盟も、総合エネ調で策定が急がれているエネルギー基本計画では、これまでの脱・石油を改め、石油の位置付けの明確化を求めている。併せて、全石連は、公共インフラとしてのSSの明確化を、石連はエネルギー間の公平な競争促進などを提言として、それぞれ求めている。
全石連を構成する47都道府県の意見が異なり、さらには都道府県組合の組合員がまとまりを欠いては、なんの力も発揮できない。競合エネルギーに劣勢を強いられ、増税に次ぐ増税を背負わされ、かつては有鉛規格だったガソリンを販売して汚れた土壌、累計100兆円を超えたガソリン税を支えながら漏洩リスクが高い地下タンクについても、完全に自己責任として放置されてしまう。
「石油の力」を標語に、石油の有用性を訴求し始めた石連は、地域の組合と一体となって、灯油復権に力を注いでいる。全石連-石油組合、石連-精製元売16社が連携一体化することで、「石油の力」はより輝きを増し、「SSの力」は地域に根付く。内向きで力を削っている姿から脱して、前へ、外へともに進む姿を取り戻そう。年末年始へ向けて、健全な収益基盤を再構築しよう。