2013.12.09 のニュース
システム×人で安全走行支援
クルマに馬力、大きさ、広さ、豪華さを求めるのでなく、低燃費、お手頃感、使い勝手、コストパフォーマンスを重視する傾向が一層強まっている。それに連れ、関連業界も少子高齢化や社会環境、ユーザー意識の変化を踏まえ、柔軟に対応していく必要がある。東京モーターショーでは、エコカー技術と並び、パーソナルモビリティの提案や運転支援システムが随所に出展され、体験試乗会も盛況だった。
「若者のクルマ離れ」と言われるが、30歳未満の運転免許人口構成比は15%。これに対して、高齢者(65歳以上)は17%だ。若者を惹きつける努力と同等、もしくはそれ以上に、高齢者でも安全に運転できるクルマや環境づくりが期待されている。高齢社会白書によると、総人口に占める高齢者割合は24%だが、2020年29%、30年32%、40年36%、50年39%、60年40%と高まり続け、しかも75歳以上が過半となっていく。世界に前例のない高齢社会を迎え、生活に必要な社会的機能を近づける「コンパクトシティ」化が求められる理由の1つでもある。
1970年に交通事故の24時間死者数は1・7万人に達していた。以降、5年ごとに交通安全基本計画を策定して対策を講じ、昨年は4400人。第9次計画では15年までに3000人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指しているが、近年は減少スピードが鈍化。高齢者の割合が高くなっていることも一因とされる。そこで、解決策としてITS(高度道路交通システム)や先進安全自動車(ASV)などの開発が急がれている。東京オリンピック開催決定は、次世代の交通像を力強く後押しする。
モーターショー併催の関連シンポジウムに対する関心は高く、その鍵として予防安全技術の必要性が強調された。カメラやレーダーなどでドライバーの認知、判断、操作を支援し、事故削減を図るシステムの実用化が急速に進んでおり、オプション装着を含めて今年発売された新車の6割以上に衝突被害軽減ブレーキが搭載されているという。だが、「システムへの過信は禁物」と専門家は口を揃えた。前をよく見て運転する、早めのヘッドライト。当たり前のことだが、事故削減効果が大きいという裏付けを示していた。世界一安全で快適なカーライフの実現に向けて、我々も積極的に関わり続けたい。