日刊ニュース

2013.12.09 のニュース

ガソリン低在庫も業転は低迷-年末商戦で業績回復を狙う-

 石連週報によると、ガソリン在庫(30日)は187万キロリットルで190万キロリットル割れの低在庫が続いている。前月に比べると2万キロリットル減、前年に比べると14万キロリットルの減となっている。低水準であるが、ガソリンの業転市況は73~74円/リットル程度で推移、他の油種に比べると一番の安値となっている。原油CIF価格が7万円/キロリットル(70円/リットル)であり、これでは精製費もカバーができなく、コスト割れの状況にある。だが、ガソリン業転も、仕切価格の値上げを機にようやく値上がりしてきた。
 冬場になると「灯油高のガソリン安」の体系に移行するが、足元はガソリンの独歩安という異常な状況が続いている。海外市況もガソリン安の灯油、軽油の中間留分高となっており、円安効果もあって、軽油、ジェット燃料の輸出は増大している。ガソリンの輸出も実施されているが、国によって性状が異なるためガソリンそのものでの輸出は難しく、ガソリン基材として輸出している。
 全体に国内需給は、軽油、ジェット燃料の輸出が増加しているため安定しているが、ガソリンのみが余剰感を強めているのは減販によるものである。在庫が減少しているため、数字の上では需給が締まって業転が値上がりする環境にあるが、減販となっているため売り圧力が強まり市況は値下がりしている。
 市況下落の要因は、上期販売は微増で推移したが下期に入り減販となってきたため、需給が緩和気味で推移しているためである。ガソリンの上期販売は、2877万キロリットルで前年比11万キロリットルの微増となった。猛暑により7~8月中旬までの増販で前年並みを確保したが、下期は台風の到来など天候不順の影響により減販となってきたため、焦りから価格競争が展開された。
 その他の要因としては①ガソリン需給の安定化を狙い減産で対応、製品在庫は低水準にあるが、半製品在庫を持っており供給面では安定している、③減販となったため各社間の販売戦略に違いが生じ、売り急ぎで業転玉が出回った、④業転問題が台頭して対策が求められたがブランド料の引き下げが予想されるなど販売業界が混乱、逆に価格差が拡大した、などの点が重なったことになる。
 ガソリンのコスト割れの状況が続けば、下期での業績回復は難しくなる。上期の決算は在庫評価益により黒字となったが、これを除くと実質は赤字となっている。そのため元売、販売業者は、下期で業績の回復を狙っているが、需要期の12月に入ってもガソリン市況下落でマージンが確保できず、このまま経過すると下期での業績回復が見込めないという危機感を強めている。そのため11月30日から2~4円/リットルの値上げを打ち出している。実質12月値上の方針を打ち出したもので、ガソリンはこれから年末商戦に入るため増販が見込まれるが、これまでの値下がり分と仕切価格の値上げ分を加算した大幅な値上がりを狙うことになる。
 首都圏の街道沿いではボトム155~157円を狙うことになり、150円割れを一気に引き上げることになる。今回の値上げが軌道に乗らなければ下期での業績回復は困難となる。一方、年末商戦となるため販売業者も増販意欲が強く、数量確保を優先して安値で販売するSSが予想されるなど予断を許さない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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