2013.12.12 のニュース
エネ基本計画案 石油業界の要望を組み入れ 予算要求、位置付けを評価~公平取引では元売を牽制~
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は6日に開催され、エネルギー基本計画案をまとめた。次回は13日に開き最終案をまとめ明年1月の閣議で決定する。今回のエネルギー計画では、石油業界の要望がほぼ組み入れられ、来年度予算要求に織り込み済みであるなどの面から評価されている。石油の位置付けでは「国内需要は減少傾向にあるが、今後とも重要なエネルギー源である」としており、そのため①調整電源として石油火力の活用を進める、②災害時には「最後の砦」になるため供給網の強靭化を推進する、③全国の供給網を維持するため石油業界の基盤強化に取り組む、との政策の方向を示している。石油業界の構造改革は、国際競争力を備えるため「資本の壁」、「地理的な壁」を越えた統合運営・事業再編を通じた設備の最適化が必要である。公平かつ透明な製品取引では「卸価格の価格差や価格決定の不透明さが指摘されているが、こうした中で、優越した立場にある元売が、不当な価格差、不利な取引き条件をSS業者に押し付けるなどの独禁法に違反する事案に接した場合は厳正な措置が必要である」と元売を牽制しているのが目立つ。
公正かつ透明な取引構造の確立については、現在、議論となっている業転と系列仕切との価格差問題を取り上げているもので「卸価格の価格差がSSの競争基盤に大きな影響を及ばすことになるが、価格差や価格決定方法の不透明性、競争上不利な取引条件が課せられているおそれがあるSS業者の存在が指摘されている」と格差を認めている。
しかし、その価格差が合理的な説明がつくものなのか否かは難しいところである。「不利な条件をSS業者に押し付け、独禁法に違反する事例に接した場合は厳正に対応が必要である」と元売に価格差の是正を求めている。これは当然の措置であるが、該当する事例が指摘されるかは、今後の経緯を見守ることとなる。
天燃ガスは、ガスシフトが進み、今後も役割を拡大していく重要なエネルギー源と位置付けられている。LPガスもクリーンなガス体エネルギー源であるとしており、LPガスコージェネ、水素供給事業への進出、運輸部門の燃料の多様化が期待されると評価している。
国内開発では、現在「海洋基本計画」の見直しが審議されているが、メタンハイドレートの「砂層型」の開発に加えて、日本海側に確認されている「表層型」の開発を新たに実施するとしており、来年度予算要求している。世界で初めてとなる減圧法での生産成功を踏まえて、2018年度を目途に商業化の実現に向けた技術整備を行なうとの計画を織り込んでいる。
また、周辺海域の基礎調査も2018年度までに毎年6000平方キロメートルの物理探査を実施する。