2013.12.12 のニュース
ガソリン仕切連続値上げ-業者、年末商戦で増販・増益を狙う-
ガソリンの仕切価格は、7日からJX、昭和シェルが90銭/リットル、出光が1円20銭の値上げとなった。EMGは1円の値下げとなったが、前週が4円という大幅値上げとしたため、その調整とみられている。そのため実質連続値上げとなった。ちなみに前週(11月30日~12月6日適用)は出光が2円20銭、JXが2円30銭、昭和シェルが3円30銭値上げとなっており、EMGは4円値上げで他社に比べて大幅となっていた。最近では10月12日からの3円40銭~4円値上げ以来の大幅な値上となった。
原油価格(ドバイ)は108ドル/バーレル程度、為替が102~103円/ドルで推移しているためコスト高となっており、先物、業転市況も値上がりしている。これから灯油、ガソリンは需要期に入るため、値崩れすることはないとみられる。灯油の場合は、天候次第で販売数量が大きく変動するが、今のところ「灯油高のガソリン安」の体系で推移しており、このままシーズンに入る。
ガソリンの場合は、これから本格的な年末商戦に入るため価格競争が心配されるが、仕切価格が連続して値上がりしているため、販売業者はユーザー転嫁に取り組んでいる。これからの年末商戦で増販、増益を狙い、SS経営の安定化を目指す時期にあるが、例年、この時期に増販を狙い、安値攻勢をかける動きも予想されるため予断を許さない。今後の販売動向は、前年比では減販傾向にあるが、好天気が続けば、年末年始にかけての休みが多く、街道沿いSSでは増販が見込まれている。
ガソリンの上期販売は微増で推移したが、下期は減販が続いているため、販売業者に焦りが出ており、価格競争から市況は下落した。夏場では160円相場となり、ユーザーの節約志向が強まったことで9月以降は減販となった。ユーザーも160円相場となると価格には敏感となり、安値を求めるケースも増加、セルフSSの量販店、HCへ流れることが多くなった。
元売はユーザーを囲い込むため、カード会員の増加を狙ったガソリンの割引き販売キャンペーンを実施しており、これが価格競争をエスカレートさせる結果となり、市況下落に拍車をかけた。そのため街道沿いのボトム価格は150円割れとなり、量販店、HCは141~143円に値下がりした。
また、ガソリンの業転安が目立っており、灯油と比べても大幅な価格差が生じている。灯油は需要期に入る前には値上がり、足元の先物、業転市況でみると、灯油が85円に対してガソリンは76円と大幅な価格差がついている。それでも系列仕切価格では灯油とガソリンは、ほぼ同値となっており、結果的には、ガソリンの業転が下落したため仕切価格との価格差は拡大したことになる。
今回の仕切価格の連続値上げを受けて、ようやくユーザー転嫁に取り組む方向となってきたもので、ボトム155~157円を目標としている。元売はガソリンが下げ過ぎであるとの危機感を強め、業転の値上げに取り組んでいる。そのため需給の適正化、需要に見合った生産、在庫の減少などで対応しているが、減販が続いており、また、各社の販売方針に違いもあって下落した。ここで値上げ局面となってきたため、ようやく元売の足並みが揃いそうである。