2013.12.12 のニュース
温対税、転用は認められない
来年度税制改正の議論の中で、地球温暖化対策税の使途拡大問題がクライマックスを迎えている。我々石油業界は先月、業界あげて総決起大会を開き、化石燃料に課せられている温暖化対策税を、森林吸収源対策にも使おうという農林水産省提案に強く反対した。その後も、全国をあげて国会議員への反対運動を展開しており、この増税で影響を受けるほかの業界にも反対運動が広がっている。
温暖化対策税はエネルギー起源のCO2排出削減対策を強化するため、受益と負担に着目して導入された。原油や石油製品、LNG・LPG、石炭などに課されている石油石炭税に、特例として一定額を上乗せした税金のことである。エネルギーを大量に使用する産業界などに配慮して、税額をおよそ5年をかけて3段階で少しづつ引き上げている最中だ。
原油や石油製品の場合、㌔㍑2040円の石油石炭税に、すでに昨年10月から250円が上乗せされ、来年4月には消費税増税と同時に第2段目の250円が上乗せされる。さらに16年4月に260円の増税が行われ、これによって最終的に石油石炭税と温暖化対策税の合計は2800円になる。
この増税は我々石油販売業界に深刻な影響を及ぼしている。というのは3段階に分けたことで、1㍑当たりでみると0・25円~0・26円という実際には流通していない銭の単位の税金を3回に分けて転嫁するのだが、SS店頭ではその完全転嫁ができないのが実情だ。
国はこうした負担増に対し供給安定化のための助成制度による支援を行っているが、ただでさえも高額・高率の税金が課せられている石油製品への税の追い打ちによって、石油需要の減少に歯止めがかからないのである。
逆境の中で徴税をして集めた税収を、森林整備に使わせろという要求は、創設の目的に沿わないものであり、そもそも消費者の理解を得られていない。同時に、すでに年間5000億円を上回る規模の森林整備予算の財源に、このエネルギー関係予算の流用が認められれば、現在予定している増税幅を上回る新たな増税案が出てきかねないという危険性も孕んでいるのである。
今週中にその方向が決まる見通しだが、改めて石油業界として主張したい。国民と約束した使い道を無視して、石油の税金を森林整備に使うのは断固反対である。