2013.12.16 のニュース
透明な仕切り方式はどうなった
公正取引委員会が7月に発表したガソリンの取引に関する調査報告書は、公正で公平な取引市場の構築に向けて大きな起爆剤になった。報告書で最も重要な部分は、元売が系列特約店に対して業転玉の購入を制限している行為などは、公正な競争環境を整備する観点から不適切である、と指摘したことである。
指摘を受けて資源エネルギー庁は9月、元売各社社長あてに、系列特約店が不利益になるような一方的な行為を行わないことや、石油製品流通証明書の添付などを通達した。公取委も元売各社を個別に呼び、①自社が出荷した製品が業転玉として自社系列の特約店に流通しても、系列玉と同等の取り扱いとすること②それが他社から出荷された製品であっても、そのことを理由に、一方的な取引停止など今後の取引に影響があると受け取られるような行為を行わないよう強く要請した。
公取委は明確な回答を求めており、元売各社の対応は近く明らかになる見通しだ。しかし、最近の市場動向を見ていると、7月の報告書で改善を求めたもう一つの重要な指摘が疎かになっているように思う。その指摘とは仕切価格の決定方法についてである。「元売は仕切価格を一定のフォーミュラで取り決めている場合には、一般特約店に対し、仕切価格だけではなく、各構成要素の額を請求書等に明記する必要がある」と指摘し、これを見直す場合には「見直した結果を一方的に通知するのではなく、特約店の意見に耳を傾ける必要がある」とまで言及している。
しかし、市場では秋口から不可解な仕切価格の改定が頻発している。公取委は調査に基づいて「新仕切り体系下では製油所出荷ベースの指標基準価格や物流費、販売関連コストおよびインセンティブの各構成要素の額をフォーミュラに当てはめて計算することになる」と分析しているのだが、その大事な仕切価格の決まり方が、これまで以上に不透明になっているのである。ブラックと言ってもいいほどだ。
大半の石油販売業者が納得のいく市場競争を望んでいる。だが、業転玉と系列玉の極端な格差によって荒れ果てた市場を前に、仕方なく業転玉を手当てしてきた。透明かつ公平に仕切価格が決まるようになれば、そんな必要もないのである。元売は改めて公取委の7月の報告書を読み直し、だれもが納得できる仕切り決定方式を確立すべきである。