2013.12.17 のニュース
東京ガソリン激減の理由
前年比でガソリン販売量が激減している地域がある。それは東京だ。全国合計で8月0・3%減、9月2・5%減、10月3・4%減と、確かに8月以降の内需はマイナスに転じているが、東京のそれは8月9・9%減、9月11・3%減、10月は20・5%減という凄まじいマイナスを記録している。その前の3ヵ月間、5~7月の販売量は平均1・3%増とほぼ全国平均と同様の傾向を示しているから、8月以降の激減は極めて異様だ。
この10月の東京のガソリン販売量は全国最大の56・1万㌔㍑で、全国の12・7%、8分の一を占める。その前年は70・6万㌔㍑で、全国の14・8%を占めていた。2%を超えるシェアの減少となったもので、これは新潟や広島に相当する市場規模の1県丸ごとのシェア移動に相当する。東京でいったいなにが起こっていたのか。
当然、平均的な東京のSSの肌感覚では、3ヵ月連続で、平均14%減というガソリン減退はない。恐らく、東京で行われていた業転のバーゲンセールが激減したのであろう。文字通りの在庫一掃が、精製元売や燃料商社の本社が集う東京で、半ば常態化して行われていた節があるから、バーゲンセールという言葉はふさわしくないかも知れない。東京が常設の業転処分場と化していたのであり、しかも本社が深く関与していたことの証左にようにも見える。
似たような月次ガソリン販売量の推移を見せているミニ東京のような府県がほかにもある。8~10月の平均減少率の大きい順に福岡、兵庫、新潟、三重、大阪、千葉だ。いずれも製油所、油槽所、中枢支店という冠を被せられる地域である。
また、8~10月は、自民党の石油流通問題議連、公取委・エネ庁、全石連・油政連活動の矛先が、大きな業転・系列価格差に強烈に向かっていた時期と重なる。議連の問題意識の高まりを受けて、7月23日に公取委が報告書を上梓。これを受けてエネ庁がヒアリングの後に9月19日に文書発出。これらの積み重ねと、東京ガソリンのマイナス率の拡大は、偶然の一致ではなかろう。
円建ての原油が高止まりする中、多くの激戦地で150円割れのガソリン小売価格表示が林立している。その主役は、相変わらずPB量販、元売子会社SSだ。ダーティーな数量拡大の野心は、まだまだ旺盛に残っている。