2013.12.17 のニュース
安価なLNG調達が最大の課題-国内開発推進の方向を強く示す-
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会でエネルギー基本計画(案)がまとまったが、福島原発事故以降の原発の停止に伴い、代替電源としてLNG火力にシフトしたことにより、安価なLNGの調達が最大の課題とされている。石油、LNGの輸入増と値上がりにより、2011年の貿易収支は31年ぶりの赤字、2013年度の海外に流出する輸入燃料費は2010年度に比べると3.6兆円増加すると試算されている。
石油の場合は、石油ショック後からは備蓄が確保されているが、LNG(天然ガス)の場合は備蓄がなく、電力供給に影響を及ぼす可能性が強いため、北米からのLNG供給が求められている。シェールガス革命の進展で米国からのLNGの輸入も2017年から見込まれており、天然ガスシフトが進むことになる。そのためか、今回まとめられたエネルギー基本計画(案)では、石油・天然ガスの自主開発の扱いの記載が少なくなっている。別途、「資源確保戦略」(2012年)において、政府と一体となった資源確保、資源権益獲得のための供給機能強化の充実などがあげられている。
現行のエネルギー基本計画(2010年)では2030年までの長期のエネルギー需給見通しを策定して、その中でエネルギーの自主開発比率を倍増、自主エネルギー比率を現状の38%から70%まで向上させ、「石油・天然ガスを合わせた自主開発比率を40%以上にする」との目標を掲げた。
今回、エネルギー基本計画では数値を示さず、基本的な方針を決めることで議論に入っており、今後20年程度を視野に入れてまとめたものである。各エネルギ-源の位置付けを踏まえて、電力システム改革、北米からのLNG調達(シェールガスの調達)、原発の再稼働、再生可能エネルギーの導入など、状況を見極めた段階で示すことになっている。
今回の計画での天燃ガスの位置付けは「熱源としての利用が拡大する。石油と比べても地政学的リスクが低く、CO2排出も少なく、将来の水素社会の基盤となる可能性も強い。今後、シェールガス革命により、各分野における天然ガスシフトが進み、今後も役割を拡大していく重要なエネルギー源となる」と高く評価している。そのため「現在、高い価格でLNGを調達しているが、供給源の多角化を進め、コスト削減を進めることが重要である。また、有事における強靭性の向上など体制整備を進める」と強調している。
同様にLPガスは「クリーンなガス体エネルギー源であるとしており、LPガスコージェネ、水素供給事業への進出、運輸部門の燃料の多様化が期待される」と評価している。
一方、国内の石油・天然ガス開発では、現在「海洋基本計画」の見直しが審議されているが、メタンハイドレートの「砂層型」の開発に加えて、日本海側で確認されている「表層型」の開発を新たに実施するとして来年度予算要求に織り込んでいる。世界初の減圧法による生産成功を踏まえて、2018年度を目途に商業化の実現に向けた技術整備を行なう計画となっている。また、周辺海域の基礎調査も2018年度までに毎年6000平方キロメートルの物理探査を実施するなど、国内の開発を強力に進める方針を打ち出している。