2013.12.20 のニュース
ガソリン業転安は異常な状況-低在庫も効果なく市中買いで対応-
ガソリンの業転と系列仕切との価格差が問題となってから時間が経過しているが、その差がますます拡大するなど異常な状況が続いている。ガソリンの業転は、原油CIF価格に石油石炭税を加えた価格より安いか同値の市況となっており、そのため元売の業績も悪化が懸念されている。市況の立て直しが急務となっており、足元の業転を値上げすることが喫緊の課題となっている。
上期の石油事業は、在庫評価益を除くと赤字であったため、10~12月で黒字に挽回することを狙ったが厳しい状況となっている。12月商戦に入ると販売業者は増販を狙い、元売も12月期決算企業が決算月での販売数量確保のため攻勢をかけるなどの動きも出るが、それにしてもガソリンの業転安は異常である。市中買いの動きも出ているが、このまま越年すると需要期に利益減となるため危機感を強めている。原油価格はドバイで107~108ドル/バーレルの高止まり、為替が102~103円/ドルと円安で推移しておりコスト高となっている。
ガソリンの在庫は180万キロリットル台で前年より20万キロリットルも低く、需給はタイトであるが、業転は値上がりせず低迷している。灯油の在庫は330万キロリットルで前年に比べると50万キロリットルも多いが堅調で推移している。ガソリンの業転は78円/リットル程度であるが、灯油は84~85円となっており、7~8円の価格差が生じている。市況は需給で決まることが経済原則とされるが、ガソリンは減産によって在庫が大幅に減少しているにもかかわらず値上がりしない。低在庫でも供給が確保できる体制が整備されたことになるが、従来の見方では供給不足が懸念される水準である。需給調整も限界となっており、ガソリンがどこまで減らせるのか実証する段階にきている。
灯油在庫は前年に比べると50万キロリットルも多いが、末端市況はSS店頭が100円台、配達は110~120円に値上がりしている。18リットルでは2200円相場となり、ユーザーの節約が懸念されるものの、ガソリンに比べて高値を維持している。
例年、冬場になると「ガソリン安の灯油高」の価格体系に移行するが、それにしてもガソリンの安値は異常である。要因としては①ガソリンの末端価格が夏場に160円相場となったため高値感からユーザーが節約したことで減販傾向を強めた、②最近は2~3%減で推移するなど各社の思惑が外れてきた、③減販となったため販売業者間で価格競争が展開されたなどの点があげられる。
その結果、10月頃にはガソリンの販売価格は150円を割り、HC、量販店では141~143円と値下がりした。これは業転安による安値攻勢が浸透したもので、その影響で一般の市況も150円の攻防となり低迷している。11月末から、仕切価格が4週連続の値上がりで累計5円程度の値上がりとなったため、販売業者は街道沿いのボトム価格を155~157円を目安にユーザー転嫁に取り組んでいるが、業転安の影響もあって低迷している。
年末商戦となり、本来であれば末端市況を値上げする時期であるが難航しており、市況低迷で元売、販売業者とも業績は悪化している。安値で増販を狙うことを「薄利多売」というが、販売すればするほど赤字が増加する異常な状態が続いている。