2013.12.24 のニュース
2013年・常識の崩壊
現在のガソリン在庫は、それまで国内石油業界が漠然と抱いていた判断基準からすると、明らかに過剰ではない。むしろ、年末年始の大型需要期を踏まえると、過少と言って良いレベルだ。一方の灯油在庫は、11月中旬から近況まで、異例の積み増し傾向にあり、前年比では約3割増しという過剰な外形を示している。暖房シーズン序盤戦は、完全な暖冬であったことを示している。
こうした需給から導き出される卸市場のシグナルは、ガソリン高・灯油安という類になるはずだが、卸の実勢は、ほぼ5~6円のガソリン安・灯油高が持続している。
実質的な機能として、精製元売に原油処理能力の削減を迫るエネルギー供給構造高度化法。その対応として来年3月までに、製油所の原油処理停止や能力削減などの対応を大手元売は完了させる。高度化法の大前提として、国内の製油所の多くは、製造業としての国際競争力で、アジアの製油所に太刀打ちできないという判断があったのだろうが、2013年の日本の製油所で製造されるメード・イン・ジャパンのガソリン、灯油、軽油は、アジア最強の競争力を発揮している。
この言い回しは当然、皮肉ではあるが、ガソリンでは通年平均で3・6円、灯油では4・9円、軽油に至っては6・8円も割安な製品市況を実現しているのが元売である。換言すれば、アジアの石油会社と比べて、年5600万㌔㍑のガソリンで2016億円、1800万㌔㍑の灯油で886億円、3400万㌔㍑の軽油では2322億円、SS関連3油種計で5200億円を超える利益を吹き飛ばしたことになる。
軽油を中心に、国内安・アジア高の市況を商機として上手に活用した元売もあるだろうが、ほぼ全元売が消耗したということは、企業体力面で、一段とアジア勢に水をあけられた、という厳しい現実がある。健全なエネルギー企業を欲している日本の国益の損失でもあるが、大株主に外資がいるところを中心に、元売経営陣の背中に冷たい汗が流れているであろう。
集団自殺という語句が浮かぶような極めてめておかしな事態が頻発して、卸市場がクラッシュしていく。その悪影響がSS小売市場をも蝕み始めている。これが長期化するとは思わないが、元売に一番必要なのは、需給を絞っても絞っても無反応な卸市場の正常化だ。