日刊ニュース

2013.12.26 のニュース

ガソリン業転ようやく値上がり-危機感から安値脱却へ動く-

 ガソリン在庫は前年に比べると低位であるが安値となっている。一方、灯油在庫は前年に比べると多いが、市況は堅調で推移している。ガソリンの安値は減販によるもので、在庫が少なく需給が締まっているが業転市況が低迷している。これは設備過剰が供給圧力となっているとの見方もある。
 冬場になると、例年、灯油は値上がりするためガソリンは値下がりするが、それにしてもガソリンの業転安が目立っている。ガソリンの先物、業転は77~78円/リットル(税抜き)に対して灯油は83~84円で推移している。ガソリンが一番の安値となる異常な状況であるが、元売の市中買いでようやく値上がりしてきた。
 ガソリンの安値による元売の業績悪化が懸念されている。元売間でも12月期決算の企業が数量を確保するため売りに出たとの見方もあるが、設備処理が明年3月末で実施となるまでの間、設備過剰が供給圧力となっているようである。
 需要期に入り増販期待が強くなっており、ガソリンは価格競争が展開されている。原油CIF価格が70円以上となっており、石油税が2円強とすると72円となる。ガソリンの業転が77円では精製費も出ず、逆ザヤの赤字となっている。それでも仕切価格は11月末から4週連続で累計して5円の値上がりとなったため、ようやく業転が値上がり、末端市況も値上がりしてきた。
ガソリン業転安の要因は、販売減により業転市場に玉が出回ったが、市中買いの動きを停止したことで、結果的に業転玉が増加し、業転市況が低迷した。その影響で末端市況も連動して値下がりした。業転玉を購入しているHC、量販店は値下げしたことになる。仕切価格は11月中旬から値上げとなったが、ユーザー転嫁が遅れ安値が残った。
 元売は灯油の増販で下期の利益を見込んだが、ガソリン安の影響が大きく、10~12月で業績回復は困難であると危機感を強めている。元売の石油事業の上期決算は、在庫評価益を除くと赤字となっており、この赤字を下期の10~12月で挽回する予定であったが、現状では業績の回復は難しい状況となっている。
 販売業者はさらに深刻であり、10月の下期以降は減販が目立ち、加えて末端市況が下落してきた。業転と仕切価格との価格差問題が表面化したが、この時期に業転市況が下落したため、価格差が逆に拡大する結果となった。元売も10月の中旬には市況下落分を回収するため値戻し値上げを打ち出した。その結果、さらに業転との価格差が拡大した。
 この値戻し値上げは、空振りとなったが、その後は為替が102~103円/ドルの円安に転じたため11月中旬から値上げとなってきた。ここにきて104円と円安が加速しそうな状況となってきた。アベノミクスで円安に誘導したが、これ以上円安に推移すると輸入品が値上がりとなり、マイナス影響が奨励される。石油業界も円安によるコスト増が問題となりそうである。円安は輸出産業にとっては高値で販売できるため有利となるが、原材料輸入の立場からはデメリットとなる。
 円安によるコスト増で仕切価格の値上げが打ち出されているが、販売業者もようやくユーザー転嫁で足並みが揃いそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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