2013.12.26 のニュース
迫る年末大幅高への系列支援
株高とドル高などに象徴される米国経済への不安後退によって、この師走のタイミングで原油高が生じている。原価の高騰は、国内石油業やSSにはあまりありがたくない事象だが、石油を業とする以上は、これに準じることが宿命だ。
原油高に円安ドル高が重なった結果、円建ての中東産原油コストは72円台に乗り、リーマンショック前の2008年9月1日以来の高値に跳ね上がっている。当時のレギュラー全国平均は㍑174・5円、灯油18㍑店頭は2276円(㍑126・4円)であった。150㌦に迫った過去最高値の原油価格が7月上旬に出現した影響で、国内小売市況も、旧盆商戦を控えた8月4日にガソリンは185・1円、翌週の11日に灯油は2378円(132・1円)という高値を付けた。高値を付ける地域では、200円を超える小売価格を想定していなかった価格表示版の修正を検討していたSSもあったあのころだ。
しかも現在の国内石油市場は、まず製品卸市場において、SS関連3油種ともに、数量面で久しく生じなかった多量の買いが入っているという。もともとガソリン在庫が過少だったうえに、寒波の到来で灯油の荷動きが旺盛になっていることが、原油見合いと比較して、より強い上昇圧力を伴う可能性が強い。
先週16日の小売平均はガソリン157・7円、灯油1858円(103・2円)で、原油コストが同じ相場帯にあった08年9月と比較して、大きな値差が生じている。この原油高局面に対して、年末年始の2週間をカバーする今週末の週仕切りは、2円を超える値上げアナウンスとなる可能性が強い。
こうした上昇要因が満載な状況で、これまで採算悪化にさいなまれていた元売は、ストレートにそれを卸・仕切りに反映させようとするだろう。ところが多くのSSは、すでに前年比で10円も高くなっているガソリン、灯油の小売価格を、これ以上1円たりとも上げたくないのが本音だ。元売経営陣の視点でも、全国の系列SSが背負わなければならない、年末の小売転嫁に際しての、この大きなストレスは理解できるだろう。
これを少しでも軽減できる力を元売は有している。子会社SSの小売市場における率先である。地域の地場資本SSは、その動きを注視して即座に対応することで、この難事を乗り切りたい。