日刊ニュース

2013.12.30 のニュース

非製品ガスの石油石炭税還付-海投損の延長など石油業界の要望通る-

 平成26年度の税制改正、予算の政府案が決まった。安倍政権は昨年12月に発足したが、25年度の税制・予算は時間的にも間に合わず。前民主党政権の政策を踏襲した形となったが、26年度は安倍政権下の本格的なものとなった。そのためエネルギー基本計画の策定に向けての議論もあり、石油業界の要望が組み込まれたものとなり評価されている。
 税制改正では石油連盟が要望していた「石油精製製造過程での非生産ガスの石油石炭税の還付」(新設)、石油鉱業連盟が要望していた「海外投資等損失準備金制度」(2年の延長)などが決まった。ただ、消費税の増税を機に石油諸税の二重課税であるTAX ON TAXの排除は見送りとなった。さらに、温暖化対策のための森林整備の財源として、石油石炭税の増税が取沙汰されたが、これは阻止したものの「森林整備の費用負担を国民で負担する、新たな仕組みについて専門チームを設置して早急の検討する」ことが決まり、先送りとなっている。今後、議論の再燃が考えられるため、石油業界としては警戒を要する問題として残った。
 非製品ガスの石油石炭税の還付は、石油連盟が長年にわたり要望していたもので、悲願が達成された。以前は製油所での自家燃料(重油など)を対象にしていたが、数年前からは商品価値がなく、販売ができない「非製品ガス」に対象を限定したことで、税制改正の中に組み込まれることになり、今回で認められた。非製品ガスにも石油石炭税が課税されており、その税金分の還付を求めているもので還付額は約150億円規模となる。
 この還付金を活用して、石油精製業における石油コンビナートの国際競争力強化(製品輸出や石油化学生産の体制強化等)や、災害に強い供給網の構築に向けた投資を進めることが期待されている。海外では製油所の自家発燃料には非課税であるため国内の精製コストは割高となり、その分競争力が弱く不利な立場にある。その他、農林用A重油の免税および還付措置の3年延長も決まった。
 石鉱連の要望していた海外投資損失準備金制度は、海外投資の失敗に対しての損失に備えて投資額の一定割合を準備金として積み立てる制度であり、この制度の適用期限の2年間延長が決まった。
 海外の資源開発には巨額な資金と大きなリスクが伴い、最近ではシェールガスや深海での探鉱・開発が多くなっている。開発コストも原油価格の値上がりに伴い上昇しており、2000年に比べると2.5倍となるなど、その規模も大きくなり、難易度はますます高くなっている。制度は国内法人が海外で投資を行なった場合には、出資額(探鉱法人)の90%または出資額の30%(開発法人)の準備金の積み立てか損金算入りが認められるものである。
 準備金の取り崩しは、プロジェクトが失敗した場合一括で取り崩す。失敗が生じず5年を経過した場合は、5年目以降、5年間に渡って均等で取り崩すことになっている。東日本大震災後の原発の停止によるLNG価格の高騰や輸出増で貿易収支が赤字となっているため、安価なLNGの調達、石油・天然ガスの開発推進が要詰されている。こうした背景から、石油開発業界では制度の恒久化を要望している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE