2013.12.30 のニュース
垣根を越えた統合の予兆
元売という言葉の定義は難しい。1947年6月に石油配給公団が設立されて配給業務を引き継ぎ、その後、石油製品配給業務が民間企業によって実施されることとなり、「輸入基地を運営し、かつ配給能力を有するもの」が「元売業者」として政府に登録された。また、国産原油から石油製品を生産する精製業者も、自社製品の販売を担当するため、元売業者として登録された。現在、経済産業省の石油政策の対象としての元売9社は特定されているが、元売会社そのものについての公的な定義・規定はない。
1984年まで、日本には元売として日石・三菱・九石・共石、出光、丸善・大協、シェル・昭石、エッソ・モービル・ゼネラル、太陽、キグナスの14のSSブランドがあった。85年に昭和シェルが誕生して以降、合併を重ねて前記の元売は7社に集約された。その一方、ブランドとしての三井石油は存在したが、元売と認められたのはごく最近の最後発と記憶している。その三井が加わって元売8社のままで2013年は暮れるが、14年は早々に事実上7社となる。
重厚長大な物流を必要とする石油産業は、上流からSSに至る産業全体が装置産業と化しているように見え、その宿命としてシェアの大きさを追及することを余儀なくされているように見える。供給過剰が顕在化して14元売が7元売となった履歴は、まさにその足跡だが、不思議なことに企業規模が10倍以上も違う元売が、今日まで併存しているのも事実だ。
国内の産業規模として、石油よりも早く縮小均衡に陥っていたLPガスでは、もう一段の規模の論理による元売機能の統合が始まっている。SSとの兼業者も多いLPガスは、元売=供給元という意味合いが強く、SSのように、元売=ブランドという部分は希薄と聞く。石油製品でも、軽油や灯油、さらにはA重油における元売機能は、LPガスと同様に供給元という意味合いが強まるから、実際の機能としては、元売=ガソリン・潤滑油ブランドという限定的な領域にとどまるよう見えてしまう。
愛着を持って、胸を張って、仰ぎ見ていた元売ブランドだが、多くのブランドが過去の遺物となっていった過去がある。電力や都市ガスを含めて、14年は元売統合、エネルギー企業間統合の号砲が轟く可能性が急浮上している。