日刊ニュース

2014.01.16 のニュース

新年会、政策面では明るい見通し-喫緊の課題は赤字からの脱却-

 2014年を迎え、石油業界では新年会が開催されているが、安倍政権の日本経済再生に向けた具体策から景気の回復が期待され、明るいムードが出ている。だが、足元の業績は、円安、原油高によるコスト増の転嫁が大幅に遅れているため、元売、販売業者とも赤字で苦戦が続いており、赤字からの脱却が喫緊の課題となっている。
 政策面では、エネルギー基本計画(案)が取りまとめられ、「石油が重要なエネルギー源」と位置付けられ、需要は減少するものの、石油需要が増加するアジアなどへの海外事業展開、石化ヘシフト、電気、ガス事業への参入など「総合エネルギー化」を目指すとの提言が織り込まれている。国内から海外展開への方向転換に期待が寄せられる。そのためには石油産業の体質強化と産業競争力の向上が求められている。
 木村石油連盟会長は新年賀詞交歓会で「今年は石油産業にとって成長に向けた新たなステージとなるよう努力したい。また、新たなエネルギー政策がスタートすることになり、これを実現して行くことが責務である」と述べている。
 東日本大震災後、3年を経過してエネルギー基本計画が策定され、エネルギー政策の方向性が提示されたが、今後の石油政策については、総合エネ調の資源・燃料分科会で審議を行ない、ポスト高度化法が議論となる。新しい石油政策の対応が示されることであろう。
 現行は設備処理問題が3月末で決着がつくため、需給はタイトとなるため環境は整備される。だが、足元の石油事業の業積をみると上期は実質赤字であり、昨年10~12月もガソリン市況の低迷で業績を挽回するまでに至らず、今年1~3月は正念場となっている。まず1~3月での業績回復が喫緊の課題となっている。
 アベノミクス効果で株価が上昇、為替が円安となり景気は回復している。平均株価は1年間で1万円から1万5000円台へと値上がり、為替は87円/ドルから最近は104~105円と円安となり、輸出産業の自動車産業などは増益となり好調である。しかし、輸入産業である石油業界は、円安によるコスト増の転嫁ができず実質赤字となっている現状である。
 円安の影響は、原油CIF価格でみると5万円/キロリットルであったものが、7万円以上となり、約2万円(20円/リットル)のコスト増となっている。このコスト増が転嫁できずに、元売、販売業者ともに苦戦している。昨年はガソリンの業転問題が表面化して販売業界から反発が高まり、市況対策が後退したこともあるが、年末には流通証明書の添付が決まり、一歩前進したことから市況是正に好結果を及ぼすとの期待感が出てきた。
 円高不況から脱して円安効果で、日本の経済は回復したことになるが、円安によるマイナス面が、石油業界に影響している。製品輸出ではメリットを享受しているが、相殺すればマイナスとなっている。急激な円安の影響を受けて実質赤字となっているものでコスト増のユーザー転嫁が大幅に遅れているためである。加えて販売減による供給増が過当競争に拍車をかけている。減販による減収、減益という厳しい状況にあるが、その中でマージン確保を狙った適正販売が求められている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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