日刊ニュース

2010.06.18 のニュース

時評 全石連 関体制がスタート -補助事業の廃止で組織活動は苦境に-

全石連は、きょう17日、総会をパシフィコ横浜で開催する。今年は役員の改選期だが、関会長の再選が内定している。副会長は新任が中村彰二郎氏(ナカムラ=JOMO、兵庫石商理事長)で、その他は留任となり関体制はスタートする。
 石油販売業界はガソリン需要の減少、SS(組合員)の減少が続く厳しい状況下にあるが、全石連は関会長のもとで引き続き組織活動を展開することになる。
 総会は、全国から販売業者のリーダーが一堂に会する場であり、元売の首脳も出席するため、石油販売業界を取り巻く問題について意見が交換される意義がある。総会の議題(平成22年度予算、事業計画など)は、すでに理事会、理事長会で承認を得ているため、総会では原案通り可決される。
 関体制はスタートするが、民主党政権への移行で昨年11月の事業仕分けでSSの地下タンク撤去の補助事業が廃止、信用保証事業の基金の国庫への返還、さらに、今年5月には、災害対応型SSの補助事業の廃止、SS高度化調査・実現化事業の廃止などが決まっている。タンクの撤去補助事業では「泥棒に追い銭」という発言が仕分け人から出ており、厳しく民主党に抗議したものの前自民党政権と違い、パイプもなく政治活動は手探りの状況にあり、対応には苦慮している。
 また、民主党のマニフェストでは暫定税率の廃止が約束されガソリン需要の増加が期待されたが、これも廃止となり、石油販売業界は政治に振り回され、各補助事業も廃止なるなどアゲインストの風が吹いている。
 一方、販売業界を取り巻く環境は年間で2000SSが減少しており、ピーク時の6万SSから4万SSに減少している。さらに減少が続くことになるが、その中味を見ると減少するのは販売業者が経営するフルサービスSSであり、増加するのは元売社有の大型セルフSSであり、SSの淘汰は今後も続くことになる。その結果、元売販売子会社、商社系SSが増加する一方であり、地場の販売業者のシェアは減少している。赤字経営が増加しており、撤退するSSが増え、そのため農村部では、SSが無くなる過疎地対策が新しい問題として台頭してきた。
 SSは国民生活に不可欠な石油を安定供給するサプライチェーンの最前線の役割を果たすと位置付けされているが、実態は、経営難が続き、安定供給を確保することが難しい状況にある。さらに、消防法の改正で老朽化したタンクに対して規制が強化される。そのため、タンクの入れ替え、FRPライニング工事が必要となる。そのコストは多額となるため、この規制強化を機にSSを廃業するケースの増加が予想されている。対象となる40年以上前のSSとなると地方や過疎地の小規模業者が多く再投資は難しい。国の支援を要請するが、民主党政権では補助策を廃止するとしており、復活は難しく、SSの減少に拍車がかかりそうである。
 当面の課題としては、独禁法の改正を機に不当廉売のガイドラインも改定され、基準となる「供給に要する費用を著しく下回る対価」(総販売原価基準)の考え方が明確化され、安値販売SSを申告しているが、「注意」処分は多くなっているものの、目立った効果は少ない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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