日刊ニュース

2014.01.27 のニュース

同床同夢であるべき元売とSS

 SS視点では、見上げれば霞むようなその企業規模、次世代エネルギーも担い得る事業基盤、さらには探鉱開発や潤滑油ビジネスなど、成長著しいアジアを中心とした世界を視野に置いた展開が可能な元売は、どうしてもうらやましい事業環境に見えてしまう。ところが、SSと共通の縮減する内需という国内事業見通しとともに、国外の事業環境も決してバラ色ではない。内憂外患、前門の虎・後門の狼が垣間見える。
 主要先進国で燃料需要の伸びが鈍化する一方で、経済成長が持続しているアジアや中東において、多くの新設・精製設備が始動する。2017年の商業生産開始予定の出光ベトナム・ニソン製油所も含まれる今後5年間ほどの世界の石油精製業の見通しだ。日本のすぐ外側において、一過性であっても数年間は続くと見込まれる過剰な精製能力の期間に入っていく。
 しばらくは、最低水準の精製マージンが続くことになるというが、中でもガソリンのマージンは著しく低下するリスクが高い。話題沸騰のシェールガス由来の石油化学が台頭し、粗製ガソリンという別名があるナフサの劣勢が見通されている。行き場の少なくなったシンガポール産ナフサはアジアに向かい、国産ナフサは国内ガソリン市場に向かうというシナリオがある。国内ガソリン市場には、製品輸入という外圧も強くなる事態となろう。
 反対に、軽油などの中間留分マージンは、全世界的に極めて有望という。中でもサルファー・フリーを筆頭に、低硫黄の中間留分は、超有望な市場環境が到来する。
 日本がそうであったように、経済成長はまず重質油に始まり、徐々に軽質化する必然にある。過去の日本と異なるのが、中国で深刻な事態を招いているPM2・5などの大気汚染問題が現時点ですでにあるということだ。ここに、極めて厳しいクルマの排ガス規制EURO6が始まることが加わり、全世界的に低硫黄の燃料が求められ、低排出ガスの新車の時代を迎える。低硫黄製品の需要の伸びに対応するため、ガソリン・中間留分の品質基準を満たすために、脱硫・分解・改質能力を拡大させる必然性が生じるのだ。
 こうした時代に正攻法で向かうには、元売もSSも、既存商品における現市場で、いまの数量で、適正な収益を安定的に上げることにあるはずだ。決して同床異夢ではない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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