日刊ニュース

2014.01.27 のニュース

設備処理の時期が迫るが-需給タイト、収益確保の兆候は出ず-

 元売各社の昨年10~12月の決算が近く発表となるが、原油価格が100ドル/バーレルの高止まり、為替が100円/ドルの円安によるコスト増が転嫁できずに厳しい業績となる。コアの石油事業は上期は在庫評価益を除くと赤字であったが、引き続き10~12月も赤字となりそうである。
 セグメント別では、石油開発事業が原油高、円安で利益が確保され、石油化学品が海外高で黒字となる。石油事業の赤字を、石油開発と石油化学の黒字でどこまでカバーできるかがポイントとなる。連結決算で黒字となるか否かは他の事業の利益次第となる。
 今後は1~3月で業績の回復を狙うが、石油事業で安定した収益が確保できるのかが注目される。足元はコスト増の転嫁が遅れているが、3月末には設備処理を終えて新しい生産秩序が確立される。需給が安定するため収益確保が期待されるが、石油業界の思惑通りに推移するかは、各社の販売方針にかかっている。
 石油はエネルギー基本計画では重要なエネルギー源と位置付けられ、製油所からSSまでのサプライチェーンの強化・維持が責務とされている。だが、今後も赤字が続けば安定供給確保のための投資もできず、供給に支障をきたすことになる。そのため適正な収益確保が求められるが、現在もコスト増が完全に転嫁できずに経過しており、赤字の解消は困難となっている。木村石油連盟会長は「安定供給・安定需要、安定収益の3点を目指す」と提唱しているが、安定収益の確保が困難な状況が続いている。
 収益を確保するためには、需要に見合った生産で需給をタイトにして適正なマージン確保をする必要があるが、25年度は空振りに終わっている。その要因として供給過剰と過当競争が指摘されており、販売業界からガソリンの業転問題が提起されているが、改善されずに今日に及んでいる。それでも供給過剰を解決する方策として設備処理に取り組むこととなり、その期限も3月末と迫っている。4月以降、果たして需給がタイトになり、安定利益が確保できる環境が整備されるのか、その時期が近づいているがまだ兆候も見られず、先行きが懸念されている。
 過剰設備が処理されても、常に「安定供給」という責務があり、需給がタイトになっても供給が不足する事態にはならないという安心感があるため、市況値上がりの反応は弱いものとなっている。市況は需給で決まるとの経済原則は働くが、実際には、オイルショック、大震災などにより供給不安が発生した時のみである。ただ、台風、厳冬など異常気象による影響も予想されるため、ある程度の余剰設備、タンカー、ローリーを確保することが重要となるが、合理化、効率化が求められているため、予備設備を持つことは難しい。
 原油は高値であるが安定的に供給されており、その結果、国内の設備能力は減少するものの製品は安定して供給される。国内需要は減少傾向にあるため、収益を確保するには各社の販売方針が重要となってくるが、赤字となるような低価格で販売しないことである。しかし、設備処理によって需給が締まるとコストを無視した安値販売がなくなるとされるが、シェア争いが続く限り、価格競争が続くことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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