2014.01.28 のニュース
灯油の重要性が認められるが減販-高値による節約と燃料転換で-
1月も下旬となり、灯油商戦は最盛期に入っているが、高値による節約と電気・ガスヘの燃料転換が進んでおり、販売は伸び悩んでいる。1月に入り全国的に冷え込んでいるため増販が期待されているが、予想よりは低調である。
東日本大震災後には灯油ストーブが増販となり、品不足となるなど灯油需要が回帰するかにみえたが、一時的な現象にとどまり、その後は減販となっている。平成25~29年度の需要見通しでは年率3%減を見込んでいるが、さらに減少しそうである。とくに暖房用の灯油が減少しており、都心部のマンションなどでは灯油での暖房が禁止されて、電気・ガスでの暖房に転換している。そのため従来型の家庭用灯油ストーブを販売している店が少ない実態である。スーパー、HCなどでも見かける程度であり、以前は電気店などでも販売していたが、現在は中止している。そのため都心部のSSでは灯油を中止しているケースが増加している。
冬場の灯油販売がなく、ガソリンのみの販売であるためSS経営が一段と厳しくなっており、冬場の灯油販売による増益で一息つくことはなくなっている。灯油を販売するSSは郊外、農村部のみとなっているが、寒冷地での販売も減少傾向を強めている。最近では北海道、東北の寒冷地でも都市近郊の住宅は電気・ガスに燃料転換しているケースも出てきている。業務用、病院などの灯油需要も、予備の自家発電用などでの用途となっており、灯油は主力ではなくなっている。
加えて販売価格がSS店頭では100円/リットル(18リットルで1800円)を超えており、配達は2000円を超えているためユーザーが節約することになり、減販に拍車がかかっている。一缶で2000円以上となると、
主婦感覚からすると高値となり、灯油ストーブの使用時間を減らして節約するケースが増えてきた。料金からみれば、電気・ガスのほうが割り高であるが、まずエアコンを使用、その後に灯油を使用するパターンが増えている。電気・ガス料金は自動引き落しとなっているが、灯油はその都度、現金での支払いとなっているため、より高値に感じ易い。ガソリンも高値のため、1回の給油で満タンにせず、数量、価格を限定する給油方式が増加しているのと同じ現象が目立っている。
以前から「灯油の需要開拓のためには石油業界による機器開発をすべきである」との意見があったが、機器開発を暖房機器メーカーのみに任せたことで、暖房システムの開発で電気、ガス業界に遅れをとった。消費者が豊かになり、生活での利便性を求めるようになったタイミングで、電気・ガスの攻勢が激しくなり、石油業界は防戦一方となった。灯油販売よりもガソリン、軽油販売で利益が見込まれたこともあり、灯油販売を軽視した結果である。また、消費者としては、灯油は重く持ち運びが不便であり、価格の変動が激しく不安定であるとの反発もあり、灯油離れが加速したことになる。
東日本大震災で、電気・ガスの供給が止まり、これに代わって灯油、LPGが供給され、灯油の重要性が認識された。そのため災害時に備えた灯油ストーブが増販となったが、その後、使用されることはなく、減販傾向を強める結果となった。