日刊ニュース

2014.02.03 のニュース

業転問題 流通証明、議員立法で各地説明会-法制度となると時間もかかる-

 ガソリンの業転と系列仕切との価格差の縮小を巡り、元売と販売業界の議論での対立が続いているが、石商サイドで流通証明、議員立法(揮発油の取引の適正化に関する法律案=仮称)の説明会が開催されており関心が高まっている。
 流通証明添付のガイドラインは昨年末に決まり、元売各社は3~4月には運用開始する予定である。証明書の様式は、所要の記載事項が具備されていれば、既存の納品書・発送伝票の活用が可能となる。元売がSSまで持ち届ける場合は、元売が事実関係を把握しており、現行の出荷伝票などで出荷基地と商流が明示されていれば、既存証票の活用で足りる。倉取りの場合は、元売が倉取りする商社等から納品先SS名を聞きだし元売流通証明書に記載する。基地を保有している商社の場合は、全ての仕入先を記載し、混合蔵置である旨を明示することになっている。
 この結果、元売からSSまでの流通経路を把握することで品質を確認ができるのと、安値販売の背景にある差別対価をチェックできる資料となるため1年間保管することになる。エネ庁、公取委の調査を容易にすることになるが、これらの措置はエネ庁による行政指導ベースであり、流通のルートが判明した場合、どこまで指導が可能であるか、実際の効果が未知数であり、限界があるとの見方もある。
 そのため法律(議員立法)での実施案が、自民党・流通問題議連で打ち出されており、販売業者間にも関心が高まってきた。その説明会が各地で開催されている。
 しかし、議員立法となれば、法案の作成、国会での審議、成立の段取りとなり、その間の与野党の調整など時間がかかる。全石連の新年会が17日に開催され、その席上、野田・自民党税制調査会長(流通議連会長)、高市・政務調査会長が、「業転価格問題の解決には議員立法で対応する。政権与党の公明党に協力を求める」と挨拶したことで実現性が高まり、期待感も強まっている。
 通常の法律は、行政(経産省など)が実務局となり作成、与党と折衝して提案、審議して成立となるが、議員立法となると、議員(自民党)が法案を作成することになる。法案の整合性、国会手続きなどは行政が行なうことになるが、現場のエネ庁の対応も注目される。
 法律の目的は「公正な競争を確保し、取引に係わる証明書に関する制度を整備することで、取引の適正化を図り、もって国民生活の安定に資する」こととしている。この法律は、行政指導ベースの延長線上にある。だが、石油業界の実態をみると、今後も需要が減少するため需給調整は難しく、設備処理による効果が期待できても、供給増が続き業転はなくならない。そのため業転との価格差問題は続くことになり、それならば系列内にあっても業転を買えることができる制度にすべきであるとの趣旨となる。業転を買っても、元売が直ちに現行の取引を停止しないことを要請しているが、業転の購入を自由に認めれば、系列販売が崩壊するため、当然、拒否している。元売サイドはブランド(マーク)が品質保証、安定供給を保障しているとの観点から業転の購入を拒否しているため、この点での調整は難しい。一方で、自由化の流れの中で販売業者、元売、消費者の3者がすべて良しとなる法律ができるのか、これからの議論が注目される。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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