2014.02.04 のニュース
SS網堅守は生活安定に資す
エネルギー需給に関する中長期的、総合的な施策「エネルギー基本計画」の策定に向け、総合資源エネルギー調査会の分科会が昨年12月に意見集約を図った。エネルギー政策の議論はかねて脱石油、そして3・11以降は原子力発電の賛否や再生可能エネルギーの拡大に焦点が集中してきたが、そんな逆風下でも我が業界は「石油の重要性」を根気強く訴え、長く“業”を担ってきた自信と誇りを胸に、社会的使命を遂行し続けている。
その結果、次期基本計画の意見として、石油は利用用途の広さや利便性の高さが評価され「今後とも活用していく重要なエネルギー源」と位置付けられた。また、エネルギー供給網の強靭化を求め、SSの災害対応力強化、病院など重要需要家による備蓄の充実を促した。
ただ、その一方で、元売には「ガソリン等の需要減少に対応するため、資本の壁を超えた石油コンビナート事業再編・設備最適化、石化や電力など他事業分野への進出強化」、SSには「経営基盤・事業多様化」などを求めている。また、第3の矢となる成長戦略実行計画では「クリーンで経済的なエネルギー供給」「エネルギーを賢く消費する」社会を目指す方向性が打ち出された。どうやら、需要減への対応が迫られる基本的構図は変わりそうもない。
ところが、大半の中小SSはすでに相当の知恵を絞り、資本を投じ、諸コストを切り詰めてここまで生き残ってきた現実がある。ゆえに、我々の窮状を知る多数の政治家が、膝元からSSの灯が消えていく社会的損失に歯止めをかけようと援護射撃してくれている。「SSは“公共インフラ”として石油製品の安定供給確保に重要な役割を果たしており、今後もその活用を支援する」(自民党政策集2013)。この存在感が際立った大震災を教訓に、政府は首都直下地震対策の最終報告で「様々な応急復旧活動の各場面で、石油燃料の迅速、円滑、安定的な供給」の必要性を繰り返した。災害はいつ、どこで起きるかわからない。社会的期待に反し、当事者が自らの手で、SS網をこれ以上崩していいのか。
国が構造的需要減を見通す中で、圧倒的な支配力を持つ元売が量を追えば、3・6万SSは必然的に余剰となる。不断の経営努力を重ね、インフラ堅守の姿勢を貫く販売業者の決意と覚悟に水を差すようなことは、厳に慎んでほしい。