2014.02.04 のニュース
原油CIFは72円の高止まり-ガソリンはC重油より安値に-
原油価格が高止まり、為替が円安で推移しているためコスト増となっているが、昨年12月の原油CIF価格は7万1910円/キロリットル(約72円/リットル)となり、前月比で約2000円値上がりの高値となっている。原油価格は112ドル/バーレルで前月の横ばいであるが、為替が102円/ドルで3ドル強の円安となっており、円安によるコスト増が目立ち、足元も102~103円/ドルで推移している。
原油CIF価格は、前年の平成24年12月が5万8000円/キロリットルであったため、1年間で約1万4000円の値上がりとなっており、この値上がり分の転嫁が遅れて、元売、販売業者の業績は悪化している。原油価格は1年前112ドル/バーレルであったが、為替が82円/ドルから102円/ドルとなり20円の円安となっている。原油の上昇による転嫁はユーザーにも理解されるため比較的容易であるが、円安によるコスト増の転嫁は、ユーザーへの説得が難航する。
現実には、足元のガソリンの先物、業転は約8万円/キロリットル(80円/リットル)であるが、コストをみると原油CIF価格は72円/リットルであり、これに石油石炭税2.2円を加算すると74円強となる。その差は6円となるが、精製費、販売経費が8円とするとコスト割れとなる。系列仕切価格は86~87円となっているが、これと比較してもマージンは減少している。現在、業転との系列価格差が問題となっており業転安が指摘されているが、業転の比率が20%あるとされている。そのため業転の値下がりは元売の業績を悪化させるとともに一般市況を下落させることになるため、その影響は大きい。
一方では、LSC重油(電力向け)の1~3月の打ち出し価格が8万4660円、HSC重油は7万7050円となっている。LSC重油は約85円/リットルでありガソリンの80円より高値となっている。
C重油の打ち出し価格のコストは12~2月のコストを対象としているため、2月で原油価格、海外のC重油市況、為替の変動が大幅であれば調整されるが、原油価格は115ドル/バーレル(南方)、112ドル(中東)、為替は104円48銭/ドルと円安を見込んでいる。決着段階での修正はあるが、それでもガソリン、灯油などの白油の業転よりもC重油の方が高値となっており、白油はコスト割れの市況となっている。C重油の業転は、HSが7万円/キロリットル、LSが7万5000円で推移している。
大口向けの重油価格の値決めは、コスト変動方式を導入しており、確実にコストを回収できることになっている。そして、その対価としてユーザーの安定供給を保障している。これは対象が大口ユーザーと限定されているため対応が可能となる。
一方、ガソリンも系列販売が主流であるが、マス商品であるため、先物、業転市場が形成されている。そのため、需給や思惑で決まるため変動幅があり、コストを割り込むこともあり、需給がタイトになれば急騰する。しかし、最近は低在庫でも減販の影響から業転は値上がりせず低迷が続いている。需給が締まっても安定供給が保障されているため、各社が減産に取り組んでも需給調整の効果は薄い。3月末で高度化法による設備処理が完了するが、その後、4~6月の定期修理の時期での状況が注目される。