2014.02.12 のニュース
税転嫁・資金繰り対策に万全を
4月1日からのダブル増税に伴う価格転嫁と4月、5月の資金繰り対策。大幅な値上げと販売量の反動減が予想されるだけに、全国の石油販売業者は3月から4月、5月に向け十分な対策を講じる必要がある。予定される消費税増税(5%から8%)と地球温暖化対策税(㍑0・25円)のダブル増税によって、現在のガソリン全国平均価格(石油情報センター調べ)を参考に試算すると、税額だけ見ても約㍑5円ほど上昇する。原油価格変動による仕切り改定もあるだろうが、それを反映させたうえで増税分はきちんと小売価格に上乗せしなければならない。
消費税が3%から5%に引き上げられたのが1997年4月。この直前の3月下旬には、やはり消費者の買いだめが始まり、月末のSS店頭は混み合った。そして4月1日、SSには閑古鳥が鳴いた。当時の本紙では「昨日までの忙しさは大変だったが、今日はお客さんがパッタリ」「やはり忙しいほうがいい」などと話すSSマンの声を紹介している。
しかし、当時のわが国のガソリン需要はまだ右肩上がりで、石油統計速報で示された同年4月のガソリン販売数量は前年比3・4%増。97年度計でみても伸び率は前年度比2・4%増だった。さらに、97年3月当時の消費税込みのレギュラー価格は、同じく全国平均110円。消費税2%増でも約2円上乗せすればよかった。
今回のダブル増税は状況が大きく違う。ガソリン需要は04年度をピークに年々減少している。それに合わせてSSの経営は悪化し、一日4SSが閉鎖している。一方、現在のガソリン価格は、原油価格の高止まり状況下で、全国平均158円と当時と比べ4割高で、ドライバーはガソリン価格にますます敏感になっている。これにダブル増税分の約5円を上乗せしなければならないのであるから、今回の増税転嫁は、これまでの増税時に比べてかなりハードルが高くなっている。
その影響で増税前の駆け込み需要は確実に増加するだろうし、4月1日以降の大きな反動減も発生するだろう。仮需で販売量が増えた3月分の仕入れ代金は4月以降に支払わなければならないから、資金繰り対策も重要になる。今回、販売業界はこの状況変化を十分認識したうえで転嫁対策、資金繰り対策に全力で臨まなければならない。