2014.02.13 のニュース
石油事業10~12月で業績悪化-市況低迷でコスト増分を未転嫁-
石油各社の4~12月期決算が発表されたが、セグメント別でみると、コアの石油事業は在庫評価益を除くと赤字となっている。原油が高止まり、為替の円安によるコスト増の転嫁ができず、石油製品のマージンが悪化したことになる。上期に比べて10~12月では、引き続き悪化しており、通期見通しではさらに悪化する。
JXの在庫影響除きの石油製品では、経常損失が396億円(前年は516億円の利益)で前年比で912億円減、上期では126億円の損失であったため10~12月で270億円の悪化となった。通期では490億円の損失と、さらに悪化を見込んでいる。コスモは経常損失が298億円(252億円の損失)で46億円の減となっているが、上期は170億円の損失であったため10~12月で128億円悪化した。出光の営業利益は26億円(331億円)となり、前年比で305億円の減、上期が86億円の利益であったため、10~12月で60億円の悪化となり、通期では50億円の赤字を見込んでいる。
このように石油事業の業績は悪化しているが、一方、石油化学、石油開発が原油高、円安により好調であり、石油事業の赤字を石油開発、石油化学の黒字でカバーして連結では黒字となっている。石油化学は、海外市況が堅調に推移したためマージンが増加した。石油開発事業は、原油価格が前年より平均で2ドル/バーレル安となったが、為替が100円/ドルで20円の円安となったため、販売単価が値上がり増益となった。原油高、円安のコスト増は、石油事業では転嫁が難しくマージンが減少して赤字となるが、石油開発事業は販売価格が値上がりすることで増益となる。
連結のセグメント別でみるとJXのエネルギー事業(石油製品と石油化学製品)の計上利益は1126億円(前年は610億円)で前年比で516億円の増となっているが、うち在庫の影響が938億円あり、これを除くと188億円となる。石油製品が396億円の損失(赤字)となり、石油化学製品は584億円の黒字となっているため、石油製品の赤字を石油化学製品の黒字で相殺して188億円の黒字となった。石油開発では813億円(前年は746億円)、金属が361億円(322億円)、その他等で連結経常利益は2559億円(1878億円)で681億円の増となっている。在庫影響を除くと1588億円(2019億円)で431億円の減となる。
コスモの石油事業の経常損失は144億円(前年も377億円の損失)、在庫影響除きで298億円の損失(252億円の損失)となっている。前年は千葉製油所が操業を停止しており赤字となった。石油開発が405億円(423億円)、石油化学が44億円(2億円)など、連結の経常利益は343億円(41億円)となり302億円改善されている。
出光の石油製品の営業利益は337億円(315億円で)で22億円の増、在庫影響除きでは26億円(331億円)で305億円の減となった。石油化学が325億円(61億円)で264億円の増、石油開発が256億円(218億円)で38億円の増など、連結営業利益は818億円(550億円)となり268億円の増となった。在庫影響除きでは496億円(566億円)で70億円の減となっている。