日刊ニュース

2014.02.14 のニュース

マージン減少が喫緊の課題-輸出増、石化へのシフトも期待薄-

 石油各社の4~12月の決算が発表されているが、うち石油事業でみると、ガソリンなどの市況低迷による製品マージンの減少が目立っており、在庫評価益を除くと赤字となっている。とくにガソリンの独歩安が業績悪化につながっており、減販とマージン減が今後も続くと予想されることから、1~3月での業績回復が難しい状況となっている。
 そのため、ガソリンマージンのあり方について再考する時期であると取沙汰されている。だが、市場連動方式による値決め、輸出入の自由化、供給増、業転との価格差問題などからマージン改善が難しい状況が続くことになる。製品マージンの減少は世界的な傾向にあるが、国内の価格体系の見直しなどマージン確保は喫緊の課題となっている。仕切価格の改定では、業転市況のみでなくコスト変動、元売他社の動きなど総合的に判断して打ち出している。そのため販売業者の思惑と違ったケースもあり反発も出ているが、誰もが納得する方針は難しい。ただ、3月末で設備処理が実施されるため需給がタイトになることが期待されている。加えて4月以降は製油所の定期修理と重なることでマージン改善が見込まれるため、新しい体系が形成される環境が整備されそうである。
 これまでは、供給増と競争激化で元売は集約化され、販売業者はSSを減らすことで対応してきた。今後、設備処理で供給増が解消され、競争が一段落すると見込まれているが、長期的に安定するか否かは不明である。ここにきて灯油はシーズンが終りに近づき、先物、業転が値下がり、ガソリン高の価格体系に移行しているが、ガソリン安によるマージン減少は年々厳しくなっている。元売は精製費、販売・管理費の削減、SSでは低マージンを前提に油外収益の増加に努めることで対応している。
 マージン増加を狙うための方策は、通常では減産による需給調整で業転市況を値上げすることがポイントとなる。だが、安定供給を前提に生産対応しているため、供給不足となるまでの減産をすることは難しい。これまでも中東不安、製油所などの事故、東日本大震災などを機に需給がタイトになり、市況が安定してマージンを確保した時期もあったが、それも一時的であり、その後は供給増となりマージン減が続いているのが実態である。
 そのため需給調整の決め手がなく、供給増の解消策としてはガソリン輸出増による需給調整が行なわれている。昨年12月の輸出は18万キロリットルで前年比で10%増、平成25年の1年間では156万キロリットル、80%増と伸び率は大きいが数量は少ない。最近では1週間で12万キロリットルを記録するなど急増しているが、これも海外市況、為替との絡みもあり、海外市況が下落すると、逆に日本への輸入となるため両刃の剣となる。さらに、
ガソリンの供給増を解消するため石油化学品へのシフトで対応しており、ガソリンの生産を抑え石油化学製品の生産を行なっているが、これも海外市況が値上がりしているためで、市況に左右され安定しない。
 今後も国内はガソリン安という体系が続くことになるが、ガソリンの業転がC重油よりも安値となり、精製費もでない不採算油種となっている実態は是正されるべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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