日刊ニュース

2014.02.17 のニュース

原油高、円安効果で石油開発は好調-石油開発の黒字で石油の赤字を相殺-

 石油開発業企業、元売の石油開発事業の4~12月決算は、原油高、為替の円安で販売価格が上昇したため好決算となった。原油価格は、ブレントで期中107.50ドル/バーレル(前年同期は109.50ドル)で2ドルの値下がりとなったが、為替が99円/ドル(80円/ドル)で19円、約24%の円安となり、この円安効果によって利益を確保した。原油CIF価格は110ドルで5ドルの下落となったが、円/キロリットル換算では6万8000円で約1万円の値上がりとなり、基調は増収、増益となった。足元の原油CIF価格は1月上~中旬で7万5000円の高値となっている。
 国際石油開発帝石の純利益は1070億円で前年比では302億円減となるが、前年は権益譲渡益があったためである。経常利益では5437億円で266億円増となっている。通期では純利益は1600億円で予想よりも70億円増を見込んでいる。海外では、大型のイクシスプロジェクトは順調に作業が進んでおり、カスピ海のACG鉱区の追加生産を開始した。国内では直江津LNG基地の稼働、新東京ラインの延仲の決定など業容拡大に取り組んでいる。
 石油資源開発の純利益は181億円(前年は180億円の損失)となり、前年比では362億円増となった。勇払油ガス田の減損損失は80億円を計上しているが増益となった。経常利益は300億円(116億円)で183億円増となっている。前年は勇払油ガスでの生産能力の低下を受けて380億円の減損損失を計上したため180億円の純損失となったが、一挙に黒字に転換した。通期見通しでは純利益241億円を見込み、前回予想の215億円から26億円増の上方修正を行なっている。
 元売の石油・天然ガス開発事業は、JXが経常利益813億円(746億円)で67億円増となっている。
原油・ガスの販売量は11.1万バーレル/日で8000バーレル/日の減、油価は小幅に下落したが、円安で売上高は1470億円、8.6%増となった。
 出光興産は営業利益が256億円(218億円)で38億円増。生産量(保有権益ベース)は2.75万/バーレルで1600バーレル/日の増となっている。通期では280億円(130億円)で70億円増を見込んでいる。
 コスモ石油の経常利益は405億円(423億円)で18億円減となっている。生産量が開発会社3社(アブダビ石油、カタール石油開発、合同石油)で3.7万バーレル/日で約5000バーレル/日の減産となっている。通期では505億円を見込んでいる。また、3油田の確認埋蔵量、推定埋蔵量の合計で2億900万バーレルと公表している。石油開発事業の分社化を推進することを決めており、今後は重点事業として取組む。
 元売の場合は、石油事業の円安によるコスト増が転嫁できず、在庫評価益を除くと実質赤字となっており、その赤字を石油開発と石油化学の黒字でカバーすることで連結決算は黒字としている。原油高、円安はコスト増となり、そのコスト増の転嫁が難しく、元売の石油事業は赤字で厳しい決算となっている。だが、石油開発は、原油高、円安により増収、増益となっている。石油産業は上流・下流の一貫体制が求められていたもので、生産規模は少ないが、石油開発事業によって元売の業績が強化されてきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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