日刊ニュース

2014.02.18 のニュース

外よりも「福は内」実現を

元売による海外事業の種まきが着実に広がっている。
 クルマや石油化学のアジア展開の深度が深まるにつれ、日本から持ち込んだ高品質の基材を現地で加工したり、合弁相手から調達する半身の海外進出から、2017年からベトナムに製油所を新設し、現地で原油から一貫生産に踏み切る出光、製油所やSSを含むインドネシアでのENEOS展開に踏み切るJX日鉱日石エネルギー。マンモスタンカーを世に出した出光は、カナダでのガス権益と物流買収に続き、LNGの洋上生産船にまで踏み出す計画が取りざたされているという。
 石油化学基材や軽油など、従来からの延長線の製品輸出という海外事業も高成長を続けている。3・11による国内受給のひっ迫で、12年まで製品輸出は縮減に転じていたが、13年は17%増の2850万㌔㍑と5年ぶりに増加に転じた。ガソリンは80%増、灯油は3・8倍、軽油は46%増と凄まじい伸長率だ。数量では1千万㌔㍑に迫るジェットと軽油が東西横綱だ。
 しかも、アジア向けの輸出採算性は、国内よりもほるかに良好な相場が続いている。13年平均ではガソリンは㍑2・5円、灯油は4・8円、軽油に至っては実に5・3円も「海外高・国内安」となった。海外相場や需給環境に応じて、柔軟な製品輸出・入を行う必要はなく、とにかく輸出すれば国内よりも利幅が大きい状態が続いたから、業転指標レスという低採算性の仕向け先には、敢えて継続的に卸す必要性はないだろう。ここで確実に利幅が取れた民族系元売と、かつて外資系だった元売のアジアにおける製品輸出ポジションは雲泥の差があったが、自律性が高まったことで、これからはほぼ民族系と同等な時代を向ける。桟橋やタンクの強化など、多くの製油所でクレーンが見える。昭和四日市は能力増強という決断をしたという。
 中国などPM2・5問題に見られるアジア各地の大気汚染深刻化とともに、その原因物質の硫黄分をほぼ完全除去したサルファーフリーのガソリン・軽油を製造する国内元売は、こうした高い環境性能面での大きなアドバンテージを有する。
 ただし、輸出増強という選択肢は、決して勝者への道ではない。国内の1・9億㌔㍑市場で出血しているようでは、いずれ健全な企業としての成長はおぼつかなくなる。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE