2014.02.18 のニュース
マージン改善の見通し難-設備処理でも需給緩和が続く-
ガソリンなど製品マージンの減少から、元売、販売業者の業績が悪化しているが、立て直しの気運が出ず異常な状況が続いている。元売の通期見通しでは、在庫評価益を除くと赤字が増加することになっており、コスト増の転嫁は難しく、今後も赤字が続く。現在は赤字解消の目途がついていない状況にある。
高度化法による設備処理が3月末で終了するため、需給が適正化され、新しい供給体制が確立されることで市況が安定し、マージンが確保できるとの期待が強まっていたが、今のところ思惑外れである。設備処理が終わる3月末までは、需給が緩和してマージン減が続くという厳しい見通しとなってきた。高度化法の目的である需給の適正化という当初の予想とは逆の動きとなっている。そのためか、設備処理による需給調整の効果は4月以降に期待するとの諦めムードが出てきている。
販売減が続き、設備処理が実施となる最終段階にきても、需給が緩和する状況にある。だが。ここにきて冷え込みが厳しくなり、その結果、需給調整が進むとの期待も出てきている。現在は設備処理を前にして一時的に増販、増産に打って出ているが、本来ならば、設備処理後の安定供給を優先して、継続的に供給数量を確保することになる。だが、需要減に対応するため各社は前年比や計画比で減産対応している。しかし、それ以上に減販となっているのか、減産効果は弱い。
コスト面でみると、原油CIF価格(1月上旬)は7万5000円/キロリットルという高値となっており、これに石油・石炭税2290円を加算すると7万7290円となる。このコストに対してガソリンの業転、先物は8万円となっており、その差額3000円弱がマージンとなるが、精製費、販売管理費などはカバーできず逆ザヤとなる。系列仕切価格は5~6000円高であっても赤字となる価格体系となっている。
マージン悪化が需要期である下期に入って加速しているだけに深刻である。各社の決算は上期でも在庫評価益を除いては赤字であり、下期で増販、増収による黒字回復を見込んでいたが、マージン減が進み10~12月で赤字が増加、1~3月では赤字がさらに加算される見通しとなっている。マージン減の要因は、10~12月が暖冬となり、灯油が販売減となったのが大きく影響した。末端価格はSS店頭売りが100円/リットル以上(18リットルで1800円)となり、配達は120円(2200円)と高値となったことから節約も浸透した。12月販売は289万キロリットルで前年比で15%減となり300万キロリットルを割った。ガソリンも499万キロリットルで3.2%減と500万キロリットルを割った。
一方、原油価格(ドバイ)が105ドル/バーレルの高止まり、為替が105円/ドルの円安が見込まれており、コスト増の転嫁が今後も遅れる見通しとなっている。3月末までは、あと1ヵ月強であるため、これから大幅な値上げが実施されてマージンが改善されることは難しい。ガソリンが値上がりしてマージンが回復、灯油が増販に転じることになれは、赤字幅の縮小が見込まれるが、残り時間が少ない。しかし、市況対策を放棄することなく赤字幅の縮小に努め、来年度以降のマージン確保の土台をつくるべきである。