2014.02.20 のニュース
製品マージンの低下は定着-合理化も限界で改善の時期に-
石油各社の4~12月期、1~12月期の決算が発表されているが、石油事業は在庫評価益を除くと赤字か小幅な利益という厳しい状況となっている。その要因を「原油価格は高止まり、為替が円安でコスト増となったが、製品市況の低迷で石油製品マージンが低下(悪化)したことによる」としている。そのためコアの石油事業は赤字となっており、他の石油化学、石油開発事業の黒字でカバーしたことで、連結では黒字決算となっている。原油高で石油開発が、海外市況の高騰で石油化学が利益を確保している。
石油は、下流(精製・販売)の儲けが少なく、上流(開発)が儲けとなるのが通説であり、日本の場合は、戦後の経済発展の過程で下流(精製・元売)からスタートしたものが、ようやく元売も石油開発に参画して成功しているがリスクも高く、その規模は小さい。ただ、最近は原油高によって石油開発が良く、石油事業が悪い時期にうまくバランスを保っている。石油化学にも参入しており最近は好調であるが、海外市況に大きく影響を受ける。海外に進出して事業の拡大を期して長期安定化を狙っているが、世界の需要動向とプラントの立ち上がり時期とのタイミングもあって難しい。
石油事業のマージンの減少は厳しくなる一方であり、この構造の定着が心配されている。マージンは、粗利益、口銭などと言われているが、原油CIF価格と末端価格までの石油業界全体のグロスマージンを「元売、精製マージン」と「流通(販売業者)マージン」で分け合うことになる。精製マージンは原油CIF価格と業転、仕切価格との差が取り分となる。この精製マージンのなかに精製費、販売経費、ブランド料、輸送費、利益などが含まれている。流通マージンは、仕切価格と販売価格(末端市況)との差となり、販売管理費、業者の粗利益が含まれている。グロスマージンを元売と販売業者とで分け合うが合理化も限界にきており、双方で改善する時期にきている。
また、先物市況(東商取)が形成されており、原油とガソリン、灯油など製品市況との差となるスプレッドがマージンの指標となる。ちなみに、足元の相場は原油は67円/リットル、ガソリン、灯油は78~9円で推移しており、その差であるスプレッドは10円程度となっている。
販売業界では、ガソリンの適正マージン論を巡って、再三議論されているが、議論しても実現が難しく、マージン減の実態を容認する状況となっている。過去においては20円あったものが、これが15円と減少、さらに10円に減少してきた。都市部の掛売りは20円程度もあり、価格差は拡大しているが、現金価格となると価格が看板に表示されているのと、元売のSS戦略は10円マージンが中心となっており、販売業者サイドも12円程度が限界との声も出ている。発券店値付けカードの手数料も7円となっている。
さらに、SS戦略でガソリンマージンはゼロで、油外収益でカバーすることが競争を生き残る道であるとのモデルが示されている。現に達成するSSも出ており、ガソリン販売は、ますます薄利多売の形態となっている。最近の業転と仕切価格との価格差問題も、根底には低マージンが定着している反発から出ている。