2014.02.21 のニュース
赤字解消を狙うタイミング-設備処理での需給適正化を期待-
石油各社の業績は、価格競争の激化でコスト増の転嫁ができず赤字となっている。各社とも合理化、効率化でコストを下げて競争力を向上させているが、そのコスト引き下げ分、製品価格を値下げする状況となっている。赤字を出してまで競争を続けることはないが、簡単には競争が止まらないのが実態である。1~3月も厳しい見通しとなっているが、明るい材料としては3月末で設備処理が完了するため、需給が適正化することで、今後は市況が安定して適正マージンが確保されることが期待されている。
足元も基盤事業である石油事業(元売・精製)は赤字であるが、石油化学、石油開発などが黒字であり、連結決算では、黒字となっているため救われている。だが、売上の太宗を占めるコアの石油事業で赤字が続くことは、企業としての存続にも係わることであり、早急な黒字転換が求められる。
企業が拡大、新分野に進出して発展するには、再投資が可能となる利益を確保する必要がある。通常は数量を多く、販売単価を高くすることで売上を伸ばし、利益を確保できるのであるが、石油の場合は商品の差別化か難しく、販売数量を増やそうとするとどうしても価格競争に走ることになり、利益を確保することが難しくなる。
元売の価格競争による赤字の影響は、販売業界にも大きな影響を与えている。末端市況が低迷することになり、販売業者もマージン減から赤字となっている。販売業者のみが利益を確保することはなく、双方が赤字となる。赤字から黒字への転換が求められているが、誰もが分っているものの、反転するための環境整備とタイミングが難しい状況にある。
赤字の要因は、①高値による消費節約などで販売減少が続き、供給増となっている、②各社は減産、輸出増で対応しているが、予想以上に販売減で推移している、③各社の販売方針、思惑の違いからバラツキが生じており、価格競争が展開されている、④販売業者も減販から、あせりが出てユーザー転嫁が遅れているなどの点が指摘されており、これらの問題点を解消する必要がある。
このまま赤字が続く異常事態が心配されている。それでもマージン確保のための環境整備となる需給の適正化は、3月末に向けての設備処理が進むことでチャンス到来とみられている。供給増を解消するために、高度化法で実施となったもので、いよいよ仕上げとなる。トッパー能力は、約100万バーレル/日削減され390万バーレル/日となり、数字からみると需給の適正化と合理化が一気に進むこととなり環境は整備される。その結果、市況は安定して適正マージンの確保が実現すると期待されている。
だが、適正マージンを確保できる市況が形成されるのか否かは、4月以降の様子をみないとハッキリしない。トッパーが処理されてもガソリン、中間留分の増産は可能であり、予定通り需給が安定化するのか懸念するむきもある。また、4月から消費税の増税でガソリンなどの販売価格が値上がりするため、減販を強めることも予想される。減販となると価格競争が展開されて、増税分か転嫁できず赤字が増大することになる。このようなマイナス要因も残っているため予断は許さない。