2014.02.26 のニュース
設備処理、定修で需給タイトも-増税転嫁、高値による減販を懸念-
石油業界は、3~4月にかけて大きな変動期をむかえる。エネルギー高度化法による設備処理が3月末で完了、同時に4月以降には春の製油所の定期修理に入るため、需給は一段とタイトになる。この時期に市況を立て直してマージンを確保するチャンスが到来することなる。このタイミングでマージンを確保して業績が回復できるのか試金石となる。
トッパー能力が約100万バーレル/日削減されて390万/日となり、稼働率は向上する。当然、需給はタイトになり、業転市況も値上がり末端も底上げされ、販売業者もマージン増になることが期待されている。
国の施策として設備を削減することで需給環境を整備することになったもので、各社間に不満もあったが、法律で施行したため業界の足並みは揃った。過去にも行政指導による設備処理を行なったが、今回は法律で施行されたもので、これを機に当分は需給が安定する。
さらに4月からの消費税の増税を前にして3月には仮需要が発生して増販となるため、需給は一段と締まる。仮需要を抑えることは難しく、増産対応して供給増で備えることになる。その結果、3月末には、マージンを確保できる市況が形成されることが見込まれている。
一方、4月の販売は、3月の仮需要の反動で大幅の減販となる。4月に入ると消費税が増税となり、これを機に節約とも重なり減販となる。このため仮需要分は4月の減販で調整されることになる。仮需要の反動による減販と、消費税の3%引き上げによる高値感からの節約のダブルパンチによって大幅な減販となることは必至である。
4月の消費税の増税分の値上げは、税金であるため完全転嫁が当然であるが、あくまでも増税分に限られており、これを上回れば便乗値上げとなるため4月の市況対策は慎重さが要求される。4月1日(火)からは増税分の4~5円/リットルの値上げを実施することになるが、この増税分を一気に転嫁できるのか心配する向きもあり、未達となれば販売業者がその差額分を損失としてかぶることになる。
その後の仕切価格の改定は従来通り、週決めの市場連動制での改定となる。ただ、3月末の仕切価格の改定は、3月29日(土)からとなるため、その変動幅と消費税の増税とが調整されることになる公算が強い。大幅な変動となると影響が出てくるが、3月まで末端市況を安定化させて、消費税の増税とは、明確に区分して対応することになる。
販売数量は、3月に仮需要で増加した分は、4月の減販で調整されるが、その後の実需となると、高値による節約で減販となりそうである。消費税の増税でガソリンの販売価格は160円/リットル台に乗せるため、確実に減販となる。高値によるユーザーの節約が心配されるが、どこまで販売数量が落ち込むか予測は難しい。ガソリンは高値となり、減販に加えてマージンが減少するとの悲観的な見方が多い。
3月末には設備処理で需給はタイトになり、適正マージンが確保されて業績が回復、安定化が見込まれるが、4月の増税で販売減となり、設備を処理しても、需給が緩和するとの最悪シナリオも予想されるため慎重な対応が望まれている。