日刊ニュース

2014.02.27 のニュース

少数精鋭の製油所が必要だ

 ポスト高度化法の議論がいよいよ始まった。高度化法は、内需の軽質化と原油の重質化という内外の見通しを踏まえて、重質・高硫黄な原油からでも、製品得率の可変率を高めることを正面の目的に据え、実質的には、期限を設けて製油所廃止や能力削減を迫るものであった。
 この3月末で、輸出型を除く日量386・5万となる原油処理能力が生み出す石油製品は、90%稼働として年間2億200万㌔㍑。エネ庁統計によると、2013年の石油製品需給は、原油輸入量が前年比0・9%減の2億1056万㌔㍑、国内生産が0・6%増の1億8766万㌔㍑、輸入が5・0%減の3605万㌔㍑、輸出は16・9%増の2850万㌔㍑と輸出の増大が目立ったが、それでも755万㌔㍑の入超。
 急成長を遂げている製品輸出に向けて、さらなる拡大を目指す元売各社だが、現状の元売間での差異は極めて大きい。年1千万㌔㍑ペースのJXエネを筆頭に、東燃ゼネも600万㌔㍑を超える一方、出光やコスモ、昭和シェルは100万㌔㍑前後にとどまる。製油所の輸出機能を具備あるいは増強させる計画は目白押しのようだが、誕生以来、ほぼ内需にのみ特化して今日を迎えた製油所が大勢だけに、水深や設備などの制約によって、一気に輸出シフトを進めることも困難が多いと聞く。
 大型で改質能力を備えた新鋭製油所が続々と産声を上げる近隣アジア諸国の事情がある。成長途上にある国情の宿命で、当面は軽油や重油などの需要増が先行し、ガソリンの需要は周回遅れで成長期を迎えるだろう。さらに、北米のシェールガス起因の石油化学原料シフトが重なって、粗製ガソリンという別称があるナフサの一定量が、従来の石化向けから弾かれてしまう構図が重なる。
 国際情勢からは、当面のガソリンの需給は緩む一方という側面が見えてくる。しかも我が国は、これら諸国との包括的なTPP締結に向け、その交渉前進が国是となっている。
 国内に残される23製油所のうち、能力削減という対応を施されたのは9製油所。その多くが一系統丸ごとの停止という選択肢ではあっても、本来の能力を抑制したのだから、競争力は削がれてしまったのだろう。需給が緩みっ放しというのも困るが、往時の勢力を回復・増強した2製油所のように、強い製油所こそが目指す王道ではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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