日刊ニュース

2014.02.27 のニュース

灯油の安定供給を再認識-増販で在庫調整が進み良好な展開に-

 大雪と冷え込みによって2月の灯油販売は増加した。在庫も取り崩しとなり、需給も締まり、先物、業転市況も反発してきた。この大雪で道路が寸断され、ローリー輸送にも支障が出たことで、孤立する集落に対しての灯油の供給が問題になっている。雪の中にローリーが閉じ込められるなどの被害も出たが、ローリーの場合は、常時、無線で運転状況が把握されているため問題はなかったようである。
 石油業界では、今回の大雪で災害地対策が提起されることになり、孤立した地域への灯油などの石油製品の安定供給が再認識された。電気が止まり、暖房は灯油が中心となっているため、災害地の灯油の安定供給が生命にかかわる重要な商品であることが実証された。
 SSの過疎化問題が議論となっているが、灯油の安定供給には、SSの減少を抑えることが重要であり、地方自治体による支援がないと難しい状況となってきた。一方、商売でみると、一連の冷え込みから灯油の業転、先物市況は値上がりをみせている。2月に入るとシーズンが終わりに近づくため値下がりするのが通例であるが、ここにきて値上がりしている。「灯油高のガソリン安」から「ガソリン高の灯油安」に転換する時期となっているが、再度、灯油高となってきた。この灯油高も気温が上昇すれば、一気に下落することも予想されるため、灯油商戦としては微妙な局面にある。
 今後は、その日の天候をみての対応となるが、シーズン終了に近づいたが、冷え込みにより在庫も調整されてきたため、市況下落が解消されて、良好な展開となってきた。今後の原油価格、為替の動向によって仕切価格は改定となるが、当面は、現在の市況が維持されて、シーズンが終わる3月末まで経過することが望まれる。シーズン前半は暖冬で販売不振となったが、2月の冷え込みで増販が見込まれそうである。
 今シーズンの灯油販売は、暖冬となり不振となっていた。昨年11月は194万キロリットルで前年比で3.9%減、12月は389.5万キロリットルで14.4%減となった。今年1月も5~6%の減が見込まれている。原油価格の高止まり、円安の影響で、販売価格はSS店頭で100円/リットル以上の高値となり、ユーザーが節約したのと、利便性から電気、ガスヘの転換が行なわれ減販が続いたことになる。
 そのため在庫は前年に比べると高水準で推移したが、末端市況は値崩れすることなく比較的堅調に推移した。販売業者も減販を覚悟して、マージン確保を優先して商戦に臨んだことになる。過去においては、SS店頭でも灯油を目玉商品として扱い、安値で販売してガソリンの増販を狙ったが、灯油の安値販売は姿を消した。その反面、SSではガソリンの価格競争が展開されているのが実態である。
 SSでの灯油販売は、寒冷地を除くと大きく減少しており、都心部では灯油の扱いを中止しているSSも多い。東日本大震災を機に、その後は灯油の需要拡大を狙ってキャンペーンを実施したが、家庭用の灯油が回復することは難しいようである。そのため今後の灯油商戦は、安値による増販を期待することなく、減販を前提にして、適正マージンを確保することが重要となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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