2014.03.04 のニュース
石油の重要性を訴求し続ける
“想定外”の災害は、地震だけではなかった。先月中旬、関東・首都圏などは2週連続での記録的積雪に見舞われ、経済・社会活動や市民生活に大きな支障を招いた。特に14~15日の積雪は気象庁予報を上回ったため、混乱に拍車がかかった。そして、交通障害や孤立地域の出現は、自動車交通や暖房需要などを支える石油製品の重要性と、安定供給を担う販売業者の存在感を改めて浮き彫りにする一面を国民に提示した。
政府は大雪当日から関係省庁災害対策会議を開催、その後は豪雪非常災害対策本部へと格上げし、総理がライフライン復旧や通路確保などに全力を挙げるよう指示。公表資料から石油関係の一部を抜粋すると…横浜市、静岡県、長野県の消防・防災航空隊による山梨県孤立地区、陸上自衛隊による秩父市などへの各灯油輸送が行われ、経産省の燃料関係では「内閣府、全石連等と連絡体制を構築。山梨県内の中核SSに電話で状況確認」「供給不足が懸念される自治体の全SSに在庫状況を調査。早期配達可能とみられるSS情報を元売に連絡し、配達を要請」「ローリーを緊急車両として扱うよう調整」「孤立地域からの供給要請に備え、空輸の可能性を含め配達方法を検討」「山梨県内SSへレギュラー1340㌔㍑、軽油460㌔㍑、灯油838㌔㍑を入荷」などと報告されている。
NEXCO東日本では、PAに滞留していた25台の車両に向け、同社在庫のガソリンや軽油を社員が各10㍑ずつ配った。また、通行止めの長期化を改善するための「首都圏大雪対策プロジェクト」を立ち上げた。
これに対して販売業界・SS。在庫切れの不安は広がったものの、雪が降りしきる中で給油、チェーン着脱、情報提供、配達などを黙々とこなした。雪に埋もれたSSは全力でフィールドの除雪を急ぎ、供給体制の確保に努めた。孤立地区で走り回っていた灯油ローリーは地域住民に“安心感”も届けた。
いま、大雪地域はもちろん、全国的に組合員の多くが減販やマージン低下圧力の加速に苦しんでいる。こんなことでは、社会が必要とする販売業者・SSが立ち行かない。防災専門家は大雪災害から「富士山噴火に伴う火山灰の降灰」をすぐ連想したそうだ。廉売SSは万能ではない。弱肉強食の競争原理にすべてを委ねると、取り返しのつかないことになる。