2014.03.04 のニュース
設備処理は継続して実施の方向-需給調整絡めて業転問題も検討-
石油政策の検討が総合エネ調石油・天然ガス小委で開始された。今までのエネルギー基本計画(案)の策定段階では議論が一巡しているが、とくに石油政策を深堀りすることになったもの。タイミング的には、高度化法で実施してきた設備処理(重質油分解装置の装備率向上)が3月末で完了するため、次期告示に向けた対応が求められているのと、平成26年度の石油需要見通しと、それに伴う基準備蓄量を設定することになっており、今後の備蓄政策を検討することになっている。
石油政策ついての議論では①法律(高度化法)による対応、②予算措置による政策的支援策、③行政指導ベースによる施策(公平な商取引)、などがポイントとなるが、夏ごろにまとめ、27年度予算要求、新政策に反映させることになる。また、高度化法の対応では、大臣告示の改正が求められている。4月以降の対応となるが、引き続き白油化を追求するため装備率の向上に取り組むことになり、その改善目標、定義、輸出など他の方策との組み合せなどが議論となる。石油業界からも、現行の方策に対しては不満もあり、説明と相談を求める意見がある。
石油事業(精製・販売)については、足元は実質赤字の業績となっており、経営基盤の強化(国際競争力の強化)が求められている。石油連盟では「総合エネルギー専業化を目指す」ことをスローガンに掲げて、対策に取り組むことにしている。内需の減少が確実であり、対応策として海外展開、石油資源の高度利用、製油所間の連携強化・構造改善などに取り組むとしている。
海外展開は、製品輸出の拡大、石油化学への参入、製油所の建設、石油・ガスの上流事業の取り組みが行なわれているが、これらは中長期戦略である。リードタイムが長く、巨額な投資が伴うためリスクもあり、即利益が見込めない。そのため、当面の石油事業の経営基盤の強化策が重点となる。その課題と対策としては、①製油所の生産性の向上(白油化)、稼働率のアップ、②SS販売網の最適化、③乱売でなく公正・透明な価格形成、④輸出の拡大などがあげられる。これらの点は以前から議論され指摘されているが、解決する対応策の打ち出しは難しい。
今回も問題点を掘り下げて詰められ、新しく政策誘導が打ち出されるが、その政策を巡っては石油業界内部での共通認識の形成が求められ、各社の自助努力によって実行されることになる。基本的には製品需給が適正化され、公正な取引が行なわれ、精製・元売と販売業者に適正なマージンが確保されることである。
需給適正化のためには、現行の高度化法による設備処理を継続(第二高度化法)して実施することになる。その実施策では、手直しが行なわれることになる。設備処理が続くことになるが、輸出の拡大を期待することで、弾力的な対応も予想される。
また、公正な取引問題を巡っては、ガソリンの業転問題で、元売と全石連は対立状態にあり、全石連は、先行して議員立法で対応する構えにある。業転問題は、供給過剰による需給バランスの崩れによるものであり、3月末で設備処理が仕上がりとなるため、その後の成果が期待されており、4月以降の需給動向が注目されるところである。