2014.03.06 のニュース
黒字企業が増えるために
石油協会がまとめた販売業経営実態調査報告書によると、12年度決算における営業利益ベースの赤字企業は43%弱。3年連続で徐々に良化しているが、万策を絞り出してなんとか黒字を捻出している様子も伝えられているから、業界全体が安定化に向かっていると考えるのは早計だ。運営SS数別の赤字比率は、1SS48%、2~3SS35%、4~5SS26%、6~9SS15%、10SS以上24%。1SSディーラーの約半数が赤字という現実は、とても重い。
気がかりなことは他にもある。5年前と比べて1~3SS業者の自社所有比率は1割程度下がった。レギュラーガソリンの粗利率は特石法廃止の96年度で15%だったが、その後はほぼ下降曲線をたどり、06~11年度の間は7%台で推移、今回ついに6・3%まで縮小。粗利率5割強をほぼ保っていた油外もここ9年間で最低の46%まで低下し、燃料油、オイル、油外を含めたトータルで95年度以降最低の9・1%へと落ち込んだ。売上高営業利益率は前年比横ばいの0・8%だったが、売上金額は約2割増しになっているから、資金繰りの苦労は増したであろう。
また、ハイオクを含めた1SS平均ガソリン月間販売量は5年前の98㌔㍑から86㌔㍑へと12%減った。規模別では1SS業者が53㌔㍑、10SS以上は138㌔㍑とその格差2・6倍で、製品構成的には1SSがガソリン47%、灯油20%、軽油28%に対し、10SS以上はガソリン77%、灯油10%、軽油13%。大手のガソリン依存率の高さが際立つ。また、給油形態別ではフルが5年前の67㌔㍑から53㌔㍑へ21%減販。セルフは216㌔㍑から184㌔㍑へ15%減販したが、結果的にセルフの販売量はフルに対して3・2倍から3・5倍に拡大した格好となっている。
予想通りだが、小規模業者はガソリンの量販政策に苦しめてられている状況が浮き彫りになったのではないか。石油製品の構造的な需要減の下でも、来店客数維持・拡大のために低価格路線を躊躇しない。SSの利益は石油に頼るな、油外で稼ごうと指揮棒を振っているのは、元売にほかならない。経営状況が厳しい中でも、回答者の7割はSS運営を続ける意向を示した。また、8割弱はPBへの移行を検討していないとしている。系列特約店・販売店の心情にどう応えるか。黒字企業が増える取り組みに期待する。