日刊ニュース

2014.03.06 のニュース

ウクライナ情勢緊迫で原油高騰-仕切値上げ、増税前の仮需要が重なる-

 ロシアによるウクライナへの軍事行動に対しアメリカ、EUが反発していることから情勢が緊迫化しており、原油価格の値上がり、株価の値下がりなど流動的な状況となってきた。WTIは104~105ドル/バーレルと前週末に比べると3ドル程度の値上がりとなっている。東商取の先物市況はガソリンが81円/リットル、灯油も80円、原油価格は68円となり2~3円の値上がりとなっている。
 ロシアの軍事介入で戦闘ともなれば、原油価格は一気に急騰することも予想される。国内の東商取の先物市況は、敏感に反応して値上がりしている。元売はガソリンの仕切価格を1日から2~3円/リットルの値上げと通告しているが、その対象は2月末時点のコスト増を反映したものではない。今週末の仕切価格の改定には今回の原油価格の上昇分を反映することになる。そのため今後の原油価格、為替の動向が注目されるところである。1~2月の原油価格はドバイでは104~105ドル/バーレルと高値で安定しており、仕切価格は小幅な変動で推移していた。為替が小幅な円高となったことから仕切価格は小幅下げとなった。その結果、末端市況は、徐々に値下がりしているもので、石油情報センターの調査価格では、平均で158円となり、1月末に比べると1円の値下がりとなっている。だが、街道沿いのボトム価格は152~153円、セルフの安値は150円を割っており、下落傾向が続くことから市況維持が心配されていた。
 これらの安値物の引き上げを狙って1日から2~3円の仕切価格の値上げを打ち出したことになる。販売業者サイドも仕切価格の値上げを受けてユーザー転嫁に取り組む準備に入っているが、ウクライナ情勢が緊迫したことで戸惑いをみせている。
 原油価格が連続して値上がりするとの見通しが強くなってきたこともあり、ここは原油価格の動向を見定めて対応することにしているが、今後の対応が難しくなっている。ここで3~4円を即転嫁することも考えられるが、ここは原油価格の動向を見定めて対応する方向にある。
 足元の市況が下落傾向にあるため販売業者間の足並みが揃うかも不安材料となっている。原油価格の急騰が確実とみれば、ユーザー転嫁で揃うことになる。また、元売が連続して仕切価格の値上げを打ち出せば追随することになるが、ここ2~3日の動向がヤマ場となりそうである。3月末になれば、消費税の増税を前にして仮需要が発生するため、この動きに平行して値上げの達成を狙うことになる。
 それにしてもユーザー転嫁のタイミングが難しい。小刻みに仕切価格の値上がり幅を転嫁する方策もあるが、1~2円の値上げとなると、未達となるため3~4円の転嫁となる。これも大幅になると、これまでの下落分を加算した値戻し値上げとなり、ユーザーから反発が出る。
 緊迫した状況になれば、供給不足を理由に一気に転嫁も可能となるが、混迷した状況がどこまで続くかは不透明である。あまりに先を読みすぎると裏目に出ることもある。原油価格の値上げのタイミングに合わせてユーザー転嫁に取り組むことがポイントとなる。
 今週末の仕切価格の改定をみて、来週からのユーザー転嫁の行方が大きなヤマ場となりそうである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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