2014.03.10 のニュース
灯油減販もマージンは確保-低在庫で需給締まり末端市況は維持-
石連週報(1日)によると、灯油在庫は145万キロリットルとなり、前週に比べ19万キロリットルの取り崩しとなった。前年に比べると56万キロリットル減の低位となっている。在庫は低位であるが、販売数量は減少傾向にあり、供給面では問題がないようである。
減販傾向であるが在庫減で需給が締まり、末端市況は維持されているため販売業者のマージンは確保されそうである。灯油シーズンは3月末までの約1ヵ月であるため在庫調整に入っているが、それにしても低在庫である。2月は冷え込みで荷動きが活発化したが、3月の販売は減販見込みとなっている。
ガソリン在庫は196万キロリットルで前週比で8万キロリットル減、軽油は164万キロリットルで6万キロリットル減となり、在庫を取り崩している。月末には消費税の増税を見込んだ仮需要も発生するため、このまま需給はタイトな状況で推移しそうである。灯油はシーズンが終了直前であるため寒冷地では仮需要も予想されるが、関東以西となると想定するのは難しい。灯油販売業者も増税前に買いに出て在庫を持っても、売れ残れば在庫分はコスト増となるため、その判断は難しい。そのため自然体で対応することになるが、仮需要の見込みと在庫調整という難しい局面を迎える。
灯油の販売数量をみると昨年12月が290万キロリットルで前年比14%減、今年1月が285万キロリットルで13%減の大幅減となっており、月間販売で300万キロリットル(前年1月は328万キロリットルを割っている。確実に減販傾向を強めているが、予想よりも厳しい状況にある。今後は年率3%程度の需要減を見通しているが、落ち込みがさらに大きくなりそうである。
東日本大震災を機に灯油需要の回復を期待したが、最近の落ち込みをみると悲観的な見方が強くなってきた。2月販売は8日と15日の2回の大雪となり、加えて冷え込みで荷動きが活発化したため、前年比では横ばいとみられている。このように灯油の最盛期で減販となったため灯油商戦に大きく影響した。
末端市況は、石油情報センターの調査価格(3日)ではSS店頭の平均は103円60銭となり、前週比で20銭の小幅な値下がりとなった。統計上では5週連続しての値下がりとなったが、累計すると1円の値下がりにとどまっている。連続値下げという発表となると、大幅な値下げとの印象を与えるが、実態は小幅な値下げとなっている。
灯油の2月の仕切価格は加重平均ではJXが3円70銭、出光が3円60銭の値下げとなっている。そのため灯油販売では、販売業者のマージンが確保できた計算となる。
灯油は小幅な値下がりとなっているが、ガソリンに比べれば値崩れせず、堅調に推移していることからマージンを確保したことになる。灯油の先物は79~80円、業転は82~83円で推移している。1月には暖冬で値崩れが心配されたが、2月の冷え込みで持ち直したことになる。今後は原油価格の動向にもよるが「ガソリン高の灯油安」の体系に移行しており、仮に値上がりとなっても灯油は抑えられる。
3月でシーズンが終りとなるため、どうしても値下がりとなるが、消費税の増税を前に、末端市況がこのまま維持できれば、減販となるがマージンが確保されそうである。